山田優は農業ジャーナリストです。国内外の農業の現場を訪ね、40年以上報道してきました。現在はさまざまなメディアに寄稿しています。
Dr. YAMADA, Masaru is a freelance journalist covering agriculture in Japan and abroad. He contributes several news media.
改正基本法を解説 食料農業農村基本法が改正された。その特徴とJAが何を語るのかを書いた。条文を項目ごとに解説するのではなく、雑感を込めて書いた。いちばんの問題点は法律への関心が高まらないことだと思う。食料安保の考え方変わり、JAの出番が増えた。
(JA金融法務10月号)
もっと果実をたべてもらおう 9月初めに香港を訪ね、国際果実展示会を見てきた。アジアの果実市場が大きく変わっている現状を取材するのが狙いだったが、日本の異常なまでの果実消費量の少なさにおどろいた。
(日本農業新聞今よみ、9月24日付)
米の値上がりを考える 米在庫の減少と消費の増加で米需給がひっ迫し、小売価格が上昇した。店頭での品薄は解消されたものの、小売価格は前年の3割高以上だとメディアが報じている。テレビ番組の多くが「米値上げは困る」と言う消費者の声を紹介する。「生産費が上がった」と指摘する生産者の声に触れる報道もあるが、安ければ良いという印象の報じ方が目立つ。水田が果たす役割、ご飯にしたときの値段など多面的な報じ方がほしい。業界内に漂う「米はいつでもどこでもすぐに手に入る」というイメージが問題の一端にあると思う。
(のうねん、9月号)
ミャンマーの米騒動 ミャンマーの日系スーパーで商品部門の責任者をしていた方が、「米を規定よりも高く売った」として拘束されていたが、8月中旬に解放されて帰国した。なぜ、米を高く売っただけでミャンマーでは刑務所に入れられるのか。答えは米が政治で大きな役割を果たしてきたからだ。2003年に軍事政権によって米の規制緩和政策が始まったが、再び先祖返りして強硬策に転じているようだ。
(日本農業新聞今よみ、8月20日付)
営業力を武器にネギ参入 京都市内で急成長した九条ネギ企業の京都知七を訪ねた。社長の重義幸さんは自動車、不動産の営業を経て農家に弟子入り。2008年に起業して規模拡大し6億円を超える規模の売上高にまで成長させた。持ち前の営業力と人材育成などが成功の秘訣だと語る。以下のサイトからすべての記事が読める。
(日本政策金融公庫農林水産事業本部AFCフォーラム夏1号)
クロスコンプライアンスを語る 農水省が本年度から導入するクロスコンプライアンス。余り知名度は高くないが、大切な話だと思う。欧米では一般的で私も必要な措置だと思うが、農水省が進めようとしている手法には疑問が残る。どんな目標で農家にどの程度の「義務」を負ってもらい、その代わりにどの程度の「アメ」を与えるのか、当事者との話し合いがほとんどなかったからだ。何か「横断歩道を渡ろう」みたいなスローガンだけのようにも見える。
(のうねん7月号)
メキシコペソが4年で2倍でアボカド失速 「東京のメキシコ大使館に赴任した4年前に比べてペソに対する円の価値は半分に下がった」とアルベルト・クエヤル公使は切り出した。ペソはドルに対しても高値を続けていたらしい。メキシコ大使館職員は大喜びだろうが、日本市場に農産物を販売するメキシコ企業などにとっては悪夢だろう。アボカドは減少が著しい。豚肉業界はもう少し長い視点で見ているため、それほど大きな変化はないが、それでも円安で日本市場の魅力が低下したのはたしかだろう。
(日本農業新聞今よみ、7月9日付)
メキシコ大使館公使にインタビュー 日本の21倍という広大な農用地面積を持つメキシコは、サトウキビ5000万トン、トウモロコシ2700万トンの生産を誇る農業大国。日本向けには豚肉やアボカド、カボチャなどの輸出を増やしてきた。ところが近年、対日輸出は明らかに停滞している。最大の理由は、円安で日本市場の魅力が低下したことだ。メキシコ側は日本との関係をどう捉えているのだろうか。東京に駐在するメキシコ農業省アジア太平洋代表・駐日公使のアルベルト・クエヤルさん(53)に、話を聞いた。
(時事通信社デジタル週刊誌アグリオ、6月25日付)
叶さんのワイン紀行を書評 ちょっと辛口の見出しになったが、楽しく読んだ。叶芳和著「日本ワイン産業紀行」(藤原書店)を書評した。独自性を大切にした多様なワイナリーの生い立ちや現況を、著者の大胆な推算をまじえてルポした。書評にも書いたが、根掘り葉掘りのルポは面白い。学者とは思えないほど(失礼!)な行動力だ。しかし、産業論を語る2部に入ると平板な分析が目につく。いったん規模拡大とイノベーションを脇に置いて、多様性と地場産であることの強みを前面に押し出すことは出来ないのだろうか。
(日本農業新聞、6月23日付)
米国農業取材の40年 大日本農会の編集部から「北米の農業について書いてもらえないか」と年明けに依頼があり、少し余裕があったためOKしたが、しばらく現地取材をしていないこともあって、いざ執筆する段階で何を書くか迷った。編集者に「自分の体験を通した米国農業や社会のことを書いて良いか」と相談してたどり着いたのが取材のエピソード。1982年のホノルルの日米農業交渉、IVP訪問で見た米国農業、留学時代の思い出など思い出話になってしまった。典型的なコタツ記事。スミマセン。
本誌を読んで大日本納会副会長の西郷正道さんが5月末に逝去されたことを知った。官僚時代の取材では何回か面談したことがある。明るい口調が浮かんできた。合掌。
(大日本農会「農業」、6月号)
トランプと米国の農家の深い関係 農協新聞のJAcomで「農家とトランプ 実利、地盤、右傾、分断という4つの視点で読み解く深い関係」を書いた。トランプ時代に農業補助金は急増した。農業法に基づく経常的な予算ではなく、新型コロナ対策、中国との貿易戦争の尻拭いなどの臨時的な予算の伸びが金額を押し上げ、2020年には500億ドルに達した。日本円で8兆円。基本的には農家に対する補助金として流れた。EWGなどの調査団体によると、膨大な農業補助金の多くは一握りの巨大農家に流れているという。必ずしもほとんどの農家が補助金の恩恵を受けているわけではないが、トランプ熱は冷めていないように見える。オンラインで記事が読める。紙媒体にも掲載される予定。
(JAcom、6月20日)
クロスコンプライアンスに異議あり! 初めに立場をはっきりさせておくと、農業がもっと環境に貢献していくことは大切だと信じている。農水省が今年から始めるクロスコンプライアンス制度は農政の大きな転換になるべき手法だと思うが、あまりに緊張感のないかたちで導入されてしまった。農家と納税者が一致できるレファレンスレベルをどこに設定するのかがはっきりしない。取りあえずやっとこうかと言う印象がある。みどり戦略を決めたときと同じような過ちだと思う。
(日本農業新聞今よみ、6月4日付)
十勝小豆のおいしさで勝負 北海道幕別町の十勝大福本舗社長の駒野裕二さんにインタビューした。地元十勝の小豆を原料にあんこを作り、和菓子の製品や原料を販売する。首都圏のセブンイレブンが販売する自社ブランド和菓子の多くは駒野さんたちが製造する。セブンイレブンと仕事を一緒にするようになって、あらゆる面で鍛えられたと駒野さんは考えている。この記事を含め、雑誌のすべての記事は次のサイトから読むことができる。
(日本政策金融公庫AFCフォーラム、春2号)
群馬県中之条町で田植え 宇都宮大学のT教授の招きで中之条町を訪ね田植えをした。乗用4条植えと補植の手植えを少々。アイルランド大使館のE参事官と田植え体験。心配した天気も快晴。のどかな雉の鳴き声を聞きながら苗を植えた。運転はEさんの方が上手だった。T教授の実家は400年の歴史を持つ。最長で200年にも及ぶという煤竹をEさんに見せたら「アイルランドの国よりも長い歴史がある」と驚いた様子。T教授の高校生の子息が参加して英語で会話にチャレンジしていた。
(2024年5月25日)
霞ヶ関の若手官僚などに話した 聞いたことはあったけれど、農水省など霞ヶ関の官庁に勤務する若手や普通の会社員らが定期的に自主勉強会を開いている。北海道・十勝の前田茂雄さんの紹介で講師の仕事が回ってきた。私で202回目だそうだ。テーマは農業ジャーナリストの仕事と有機農業。日曜日の朝にもかかわらず、熱心に話を聞いてくれた。何を話したかなどは下のサイトで紹介されている。
https://kasumigasekibatake.jp/guest/202/
(東京・霞ヶ関で5月19日)
中国のリンゴ関係者に講演 中国各地のリンゴ産地から12人が来日し、青森県などを訪問している。東京都内で15日、日本の農業やリンゴの状況を解説した。簡単な日本農業の歴史を動画で紹介し、新しい食料農業農村基本法を説明した。高密植栽培に興味を持っていたので聞いてみたら、リンゴの先進農家(企業)は雪崩を打って栽培を切り替えているという。どうも話を聞くと、日本よりもスピードが速いようだ。(5月15日)
ウクライナの今を報告 今年2月、ロシアによるウクライナの軍事侵攻から2年が経過した。激しい戦闘は続いている。首都キーウで記者活動を続けるジャーナリスト、ユーリ・ミハイロフさんの現地報告を紹介した。都市部では復旧が進んでいるものの農村部に行くと全く別の光景が広がっているという。
(のうねん5月号)
農業支援は壁打ちのようなもの 「ずっと農業と関わりたい」。きっぱりと地銀を辞めて埼玉県内の畜産会社のCFOに転じた土屋さん。仕事で培ったネットワークを武器に農家の相談相手を手がける。「テニスの壁打ちみたいなものです」。すぐに解決するのは難しいが、それでも農家に徹底して寄り添うことが大切だという。下から記事を読める。
(日本政策金融公庫AFCフォーラム、春2号)
アイルランドなど欧州の農作業安全対策を報告 東京農業大学で2023年に開いた第3回農業労災ワークショップで、「世界の最先端を行くアイルランドの農作業安全」と題し報告した。2022年に宇都宮大学の田村孝浩さんと一緒に同国を訪ね、農作業安全の法制度、教育、コミュニケーションを調べるのが目的だった。田村さんがまとめている「農作業死亡事故を抑止するための情報収集・活用システムの構築に向けた課題の解明」報告書暫定版はすでに公開している。その内容を主に説明した。
(日本農業労災研究、2024年3月)
「おいでおいでに注意」 昭和の最後、福岡に5年ほど住んだが、佐賀県の農民作家、山下惣一さんとの接点はほとんどなかった。取材先ではあいさつ以上の意味のある話はしなかったように思う。東京に戻って宇根豊さんの主宰する農と自然の研究所の会合を手伝うようになって、何回か都内で酒席を共にするようになった。鋭い言葉とその裏側にあるやさしさが思い出に残っている。その時に言われた中で印象的だったのは「農政はおいでおいでの世界だからね。注意しなさい」という言葉だった。山下さんはミカン振興で自ら痛い目に遭った。いま、国が進めようとしている輸出振興は典型的なおいでおいでの世界のように見える。
(日本農業新聞今よみ、4月30日付)
ウクライナの農村を訪ねて ウクライナのジャーナリスト、ユーリ・ミハイロフさん(69)に、近郊の農家を訪ねて2年前に始まったロシアとの戦争の爪痕を取材してもらった。彼の住むキーウは防空態勢がしっかりしている上に、空襲の合間を縫って復旧が進められるが、首都を一歩出ると景色は大きく変わるという。農村部は砲撃などで破壊された建物、施設の瓦礫が手つかずのまま放置されている。農家は農産物価格の低迷、生産資材の高騰に直面していた。
(時事通信社アグリオ、4月2日)
サバクトビバッタで警戒警報! 2019年から20年にかけてアフリカ北部から中近東に欠けて大発生したサバクトビバッタ。今年、4年ぶりに警戒感が高まっている。国連食糧農業機関(FAO)のサバクトビバッタ情報を読んでいたら、気になる気象情報が届いた。最新の予測によると、春から秋にかけて幅広い地域で平年を上回る降雨量が見込まれているというのだ。恒常的な水不足地域なので、干天の慈雨と思いきや、厄介者のサバクトビバッタにとって好適な生育環境をもたらす恐れがあるという。
(日本農業新聞、3月30日付)
豊かな日本の終焉か 「日本は豊かだから食料危機で飢えない」こんな風に語る人たちがいる。正直、筆者もそう考えていたところがある。しかし、最近は事情が変わってきた。日本の豊かさなるものはどんどんと失われてきているように思う。いちばん感じるのは海外に出たときだ。欧米の先進国に出かけると体感的には物価が二倍以上に感じる。日農の本社がある秋葉原周辺には外国人の姿が目立つ。彼らは日本のおもてなしではなく何でも安いニッポンを楽しみ来ているように見える。
(日本農業新聞今よみ、3月26日付)
Вихід на японський ринок продовольства. Дванадцять українських компаній на FOODEX
ウクライナの農業雑誌に寄稿。3月4日に始まったFOODEX2024に出展したウクライナの食品事業者を紹介した。JETOROが招いた12社の企業が日本市場への参入をめざして売り込む姿を紹介した。Це було нелегко, але це потрібно було зробити, щоб знайти нові шляхи збуту на ще не відкритому для себе японському ринку. Рух на польському кордоні був хаотичним. Однак вдалося ввезти вино, мед і горіхи в Польщу та упакувати товар на рейс з Варшави до Токіо. За допомогою JETRO (Японська організація зовнішньої торгівлі, дочірня компанія японського уряду) 12 компаній з України нарешті з’явилися зі своєю продукцією на FOODEX - найбільшій міжнародній продовольчій виставці в Азії (березень 2024, Токіо).
輸入リスクを懸念し国産材を多用 「スギから読む新しい林業」をテーマにしたAFCフォーラム(日本政策金融公庫農林水産事業本部)で、長崎県島原市の株式会社福栄の福﨑國久さんを訪ねた。住宅建材供給の会社だ。2021年のウッドショックで外材依存の怖さを知った。一定量は国産スギを使い続けるという。しかし、スギの多くは強度や精度が外材に劣る。そこを工夫するのが腕の見せ所だそうだ。興味深かったのはRAP工法という画期的な建築の手法。プラモの部品を組み立てる感覚だそうだ。下のサイトからすべての記事が読める。
(AFCフォーラム、冬2号)
信濃大町で清酒GI始まる 以前から、地理的表示(GI)保護制度は、たんなるブランドを超え地域資源の利用を促す仕組みだと考えてきた。長野県域のGI清酒が始まって1年後、信濃大町地域に限定し厳しい生産基準を敷いた酒造りが始まった。現地を訪れ白馬錦で知られる薄井商店の薄井社長に話を聞いた。米を供給する平出さんも訪ねた。地元愛が半端ではない。2月に取材したが、薄井商店が買収される(3月1日付)など、いろいろと事情があって掲載が遅れ、記事の肩書きが農業ジャーナリストになった。ところで、白馬地区は外国人観光客の姿が目立った。
(日本農業新聞2面、3月6日付)
欧州の農家が各地で抗議活動 農家の反乱――。抗議活動の波が欧州を始めとする世界各地で広がる。買いたたかれる農産物、市場開放、官僚主義、環境規制の無理強い。怒りの対象はさまざまだが、効率や競争を強いるグローバリズムに対する反撃という点では共通している。
米国ワシントンで発刊されるフォーリン・ポリシー誌(電子版)に興味深い記事が掲載されている。同誌は外相時代の岸田文雄首相が投稿したこともある権威ある雑誌だ。それによると欧州で農家の抗議活動が行われていないのは「オーストリア、デンマーク、フィンランド、スウェーデンのわずか四つ」だそうだ。EU加盟国だけでも27ある欧州のほとんどの国で農家が街頭に繰り出して声を上げていることになる。
数十台から場合によっては数百台のトラクターが大都市に繰り出す。高速道路いっぱいに広がる車列で、一帯は激しい交通渋滞に陥る。家畜ふん尿をまき散らしたり、タイヤや麦わらを燃やしたりするなどの手荒い活動もある。
(JAcom2月28日付)
一見すると平穏なキーウの食事情 クライナのフリーランスジャーナリスト、ユーリ・ミハイロフさんにロシアによる軍事侵攻から2年に合わせてキーウの食料をめぐる事情を寄稿してもらった。表面上はきわめて平静。豊富な食料の出回りで行列などもない。一日に数回の空襲警報だけが戦時下であることを直接的に思い起こさせる。しかし、その潤沢な食事情の裏側には...
(日本農業新聞、2月24日付)
欧州で農家の抗議活動が広がっている ここ数年くすぶっていた農家の不満が一気に爆発したようだ。欧州各地で農家の抗議活動が広がっている。主要都市や港湾にトラクターに乗って集結。一帯は大渋滞となるが、わりと市民は冷静だ。農家の要求は農産物価格の低迷や農業交渉の進展、生産資材価格の高騰の他、欧州連合(EU)の官僚的な対応、厳しい環境規制への反発もある。英国農家の檄文を紹介した。
(日本農業新聞今よみ、2月20日付)
欧米農政が中小農家重視へ転換 欧米農政をつかさどるトップ2人が最近、中小農家を重視すると相次いで発言している。どちらも濃淡はあるが、効率の高い大きな農家を育成する農業政策を実施してきた。生産量に応じた補助金は大規模農家が自然と多く受け取る仕組み。しかし、地域から中小農家が減って空洞化が進みすぎたという反省が出てきたらしい。記事は米農務長官のビルサック氏とEU農業農村担当委員のヴォイチェホフスキさんの発言を紹介した。実際に政策が変わるかどうかは政治環境の未来に関わる部分が大きい。もしトラだと、話は違ってくるだろう。
(日本農業新聞、1月27日付)
忘れる国と忘れない国 22年10月にアイルランドの首都ダブリンを訪ねて行ってみたかったのが、飢餓メモリアルだ。前に行ったときに時間がなくて見ることができなかったので、今回は調査の合間に足を運んだ。ダブリンの繁華街から徒歩で五分ほど。東京で言えば銀座近くの築地ぐらいの距離だろうか。食べものを探す6人と犬1匹。19世紀の大飢饉を忘れないように1997年に建立された。世界第3位の豊かなこの国で、なぜ飢餓を忘れないよう異様な像を街中に立てたのだろうか。
(のうねん、2024年1月号)
和歌山県の梅酒GIを取材 日本政策金融公庫農林水産事業本部のAFCフォーラム最新号で、地理的表示保護(GI)の特集を組んだ。和歌山梅酒管理委員会の中野幸生さんを訪ねてインタビューした。紙面の内容はすべてリンク先からダウンロードして読むことができる。
(AFCフォーラム2024年冬1号)
土の香りが立ち上らない10大技術ニュース 農水省が年末に2023年の農業技術10大ニュースを発表した。いずれも試験場や大学、専門企業などが開発したもので、農家技術はすっぽりと抜け落ちている。事務局の農水省が候補を選び、農業関係記者らが投票して決める。毎年農家技術は含まれていない。30年以上前に私も投票する立場だったという自戒の意を込めて批判的に書いた。
(日本農業新聞今よみ、1月10日付)
欧州のタンパク質増産計画 欧州でタンパク質の自給を拡大する動きが広がっている。熱帯林を切り拓いて生産した南米産の輸入を減らすことが狙い。各国でたんぱく質源としてのマメや牧草の増産が始まった。
(日本農業新聞「今年よみ」、2024年1月3日付)
新年早々、能登地震、航空機事故などの不幸な事故が相次ぎました。海外でもロシアによるウクライナの軍事侵攻、イスラエルのガザ軍事侵攻が続いています。正義が下され、平和が訪れますように。
2024年1月3日
日々のニュースを追う仕事を減らし、自分しかできない仕事に注力する。「忙しいから」と手を着けなかった1980年代以降の日本の農業交渉に関する「事実」を掘り起こし、記録したい。
それにつけても、政治の劣化が著しい。自民党の安倍派の連中などは「政治に金がかかる」などと言い訳しているが、個人的な蓄財や遊行に回ったものが多いはずだ。検察の捜査には限界があっても、選挙で民意を示すことはできる、と信じている。
ダブルの気象現象に直面する豪州 過去3年間、比較的恵まれた天候と国際食料相場の上昇の恩恵を受けてきた豪州。今、エルニーニョ現象とインド洋ダイポールモード(IDO)現象という2つの気象パターンに悩まされている。同国政府農業資源経済局(ABARE) が12月に発表した内容をみると、冬作物の小麦などが減産する。先日インタビューした在日豪州大使館の関係者は、肉牛に穀物を与える地帯を中心に農家が早めの牛出荷を始めていると説明した。豪州は小麦や牛肉の輸出国で、国際相場に与える影響も大きい。
(日本農業新聞、12月30日付)
米の部分開放決定から30年 もう30年も経つのか。貿易と関税に関する一般協定(GATT)ウルグアイラウンドの交渉で米のミニマムアクセス米受け入れを決めたのは1993年12月。当時の細川護熙首相が未明の記者会見で明らかにした。1995年度からミニマムアクセス米を国家貿易でせっせと輸入し続けている。米需要が年々減りながらも、輸入数量は76万7000トンで変わらず。すでに国内需要の1割を超えているが、政府は「国際約束だから」と放置したままだ。財政負担が拡大するなど矛盾が拡大している。
(日本農業新聞、12月15日付)
フランスの多様な畜産にヒントあり 10月に訪問したフランスの多様な畜産に学ぶべきところが多いと書いた。地域資源を上手に利用するには多様な家畜品種が必要で、それを地元の伝統料理が支える関係は健全だ。画一的な家畜品種で「製品」の効率性ばかりを追い求める日本との違いを見た。
(日本農業新聞今よみ、11月28日付)
Workshop on Sustainable Food Production - Livestock and meat Products A workshop on sustainable livestock farming was held at a hotel in Tokyo, organized by the Dutch Embassy. Invited as a panelist, I emphasized that smart technologies can't solve everything to facilitate environmentally friendly farming.
都内で開いた討議で環境に優しい畜産のあり方を話し合った。スマート農業に頼ろうとするのは誤りだと主張した。司会のフォセナーさんとは15年ぶりぐらいに会った。
(オランダ大使館主催日蘭セミナー、11月22日)
オーストラリア農務官に牛と米を聞いた 在日豪大使館のトム・パーネル農務担当参事官にインタビューした。2度目の赴任という知日派。豪州国内では穀物産業、農薬の規制緩和、園芸作物市場アクセス、 輸入リスク分析、ミバエ対策、アニマルウェルフェア(動物福祉)の対策など幅広い分野を担当してきた。エルニーニョ現象等の不安要因はあるものの、今後数年間の牛肉供給は拡大するとの見通しを語った。
(時事通信デジタル週刊誌アグリオ、11月21日)
エルニーニョ現象で食料ひっ迫か 作物のできはお天道様次第。昔からの言い伝えを噛みしめる事態が世界中で続いている。さらにアジアなどを直撃しているエルニーニョ現象の影響で各地の米作りや畜産に打撃が想定されている。夏にはインド政府が一部の米輸出を禁じたり、米輸入国が早めに手当てを始めたりしている。最初の米騒動の火の手は思わぬところから上がった。米国だ。
(のうねん、11月号)
鹿児島小浜水産で養殖を取材 オバマスタイルと呼ばれる独特の給餌方法で資料コスト削減と品質向上を実現したという鹿児島県垂水市の養殖業者を訪ねた。桜島のすぐ近く。錦江湾に面し、以前はカツオ漁の餌としてカタクチイワシを採る水産をしていたが、ブリ養殖に転換。その後カンパチの稚魚を中国から入れて育てる養殖が柱になった。脂ののったカンパチの刺身をごちそうになった。
(日本政策金融公庫農林水産事業本部AFCフォーラム秋2号)
フランスの多様な家畜品種 フランス中部のクレルモンフェランで、10月に開かれた欧州最大の畜産展示会SOMMET DE L'ELEVAGE23を訪ねた。10万人以上が集まる家畜ショーで、多様な品種の肉用牛、乳用牛が展示されていた。イベントの大半はフランス語なので、事務局が紹介する農家訪問のツアー(10種類以上)を選んで回った。以前から、フランス畜産の多様な品種構成は知っていたが、その背景を学ぶことができたように思う。多様性を支えているのは、地域資源に依拠する畜産スタイルと、バラエティ豊かなアウトプットの地元食品を大切にする消費者の存在だった。取材はこの展示会を終えて、トルコのアンタルヤに移動し、そちらで別の展示会の取材をした。
(日本農業新聞、11月4日付)
米が不足しそうなら芋を食え 日本の新しい食料安全保障政策のことではなくて、東南アジアの話。シンガポールにあるISEASユソフ・イシャク研究所(旧東南アジア研究所)が7月に出した提言の最初に「米不足が懸念されるので、消費者にキャッサバ芋を食べるように教育しよう」が盛り込まれた。エルニーニョ現象でタイやベトナムの米減産が見えてきたためだ。
(日本農業新聞今よみ、10月24日付)
滋賀県のイカリファーム井狩篤士さんに聞く 西日本有数の米所、滋賀県で「もっと米を減らしても良い」と大胆な発言を繰り返すイカリファームの井狩篤士さんを訪ねた。収益面では圧倒的に有利な小麦を柱に大豆、米を組み合わせている。地元の給食や大手コンビニとのパン用小麦の取り引きを拡大した。北海道原産の超強力品種「ゆめちから」を採用し、パン適性の高い小麦供給を実現している。
(日本政策金融公庫農林水産事業本部AFCフォーラム)
エルニーニョがアジア農業に打撃 「その男の子」という意味のエルニーニョがアジア農業に悪い影響を与えそう。シンガポールの研究機関の報告では米の減収に結びつく可能性がある。実際にアジア各国は警戒モードだ。オーストラリアでも高温と乾燥を警戒して南部でと畜が増えている。
(日本農業新聞、9月30日付)
MA米制度は金食い虫 30年前から始まったMA米制度。最低限の輸入機会を提供するという名の下に、毎年70万トンの米を海外から買い入れる。実は農家や納税者に重い負担をかけている。国際的な約束事だとして制度見直しを拒む日本政府の姿勢は明らかにおかしい。
(農業協同組合新聞Jacom、2023年9月)
ファームノートの小林晋也さんに聞く 企業の発想で酪農改革をめざすファームノートホールディングス代表取締役の小林晋也さんにインタビューした。AFCフォーラム夏2号のスタートアップ特集のひとつ。国内では最大手のネックカラー型センサーやクラウド牛群管理システムを運営する同社は、農業関係企業や団体も出資するスタートアップ企業。変化がゆっくりな農業の中で起業することの大変さを語った。以下のサイトで同誌は読めます。
(日本政策金融公庫農林水産事業本部AFCフォーラム)
『開発と〈農〉の哲学』(はるか書房)を書評 澤佳成さんの近著を書評。開発途上国の経済学というと速水佑次郎さんの『開発経済学』を思い浮かべるが、コモンズを商品化して効率的な農業生産を押しつける従来の開発手法の矛盾を解き明かす。そもそも大航海時代以降の帝国主義的な植民地政策が南の貧困の原因で、さらにそれを固定して北が甘い汁を吸い上げる構造が残っている。解決のために根っこを絶たないとダメだという。同感だ。
(日本農業新聞、9月17日付)
米国内で水資源乱用への警戒感 ニューヨークタイムズ紙が全米の水不足問題を連載で報告している。農業では近代的な大規模農業生産と外見にこだわる消費者が問題の背景にあると指摘している。以前、ワシントン州の牧草会社を取材で訪ねたときの話をまじえて書いた。今年の米国の干ばつは相当ひどいみたい。オガララ水系の地下水位の低下も著しい。
(日本農業新聞「今よみ」、9月12日)
スイスの雑誌に日本のアニマルウェルフェアを執筆 すっかり忘れていたが、オンラインで記事を調べていたら、自分が書いた記事がスイスのメディアに載っていた。ドイツ語に訳されていたので1年間も気がつかなかった。自宅近くの馬頭観音の話から、日本では家畜を敬う気持ちはあるが、制度としてのアニマルウェルフェアは欧米に比べて遅れていると書いた。スイスで当時、憲法に大規模企業型畜産禁止を盛り込むかどうかの話題があり、ベルンの編集者から日本の状況を執筆してほしいと依頼があった。
(LID.ch Animal welfare in Japan-Not a big deal yet)
安藤昌義さんに甘藷の話を聞く 茨城県にあるJAなめがたしおさいの安藤昌義組合長にサツマイモ(甘藷)の話を聞いた。言うまでもなく、青果ではなく「焼き芋」に注目して市場を切り拓いた行方地区のJAのトップ。安藤さん自身は合併農協のしおさい側出身だが、昔話から聞くことができた。輸出に焦点を当ててほしいという編集部の意向だったが、やはり面白いのは焼き芋に注目した経緯だ。サイトから全文を読むことができる。
(日本政策金融公庫農林水産事業本部、AFCフォーラム夏1号)
いっそMA米を輸入禁止したらどうか 下の記事にあるように、世界最大の米輸出国インドが米の禁輸を発表した。即日実施というショッキングな内容だった。実際にはいくつかの留保があって、直ちに米の国際価格が高騰する情勢ではないらしい。しかし、ニュースの一報を受けて米の買い占めが米国内で起きるなど、不安要素はある。日本は毎年77万トンの米をいやいや輸入している。WTO合意に基づくものだというのが日本政府の説明だが、国際相場が高騰しかけたら素早く輸入停止を宣言したらどうだろうか。
(日本農業新聞今よみ、8月8日付)
米の国際相場が値上がりしている 世界最大の米輸出国インドが7月20日に米輸出規制を強化し、米の国際相場が上昇している。小麦や大豆などがウクライナへのロシア侵攻などで乱高下する中、米相場は比較的落ち着いた動きをしていたが、不穏な動きになってきた。記事では削られてしまったが、米国からはインド系の住民が米の不足を懸念して、スーパーに駆けつけ買い占めているという報道も伝わってきた。
(日本農業新聞1面、8月4日付)
FAOのShirley Mustafaさんのコメント 上の記事の関連で国連食糧農業機関(FAO)本部のエコノミスト、シャーリー・ムスタファさんのコメントを求めた。木曜日に電話で依頼して、すぐに鋭い分析を折り返してくれた。日本からの米輸出が増えて,国際相場への関心が高まっていると説明したら、ジャポニカ米の情勢も語ってくれた。前任者はギリシャ出身の女性だったが、シャーリーはイラン出身。(日本農業新聞3面、8月4日付)
カナダの氷河で温暖化を実感 日本農業新聞の天気欄で年間に3-4回コラムを書いている。今回は6月に訪問したカナダのコロンビア氷河を訪ねた時の話題。英国の農業コンサルタントであるサイモンは、半ズボンでポロシャツ。足元にはチョロチョロと氷が溶けた水が流れていた。
(日本農業新聞、7月29日付)
今年のナフィールド奨学金募集始まる 「海外で農業研修しよう」という募集記事を日本農業新聞で書いた。農業者の自主的な海外研修としてユニークな活動を繰り広げている。日本代表の前田さんから情報をもらった。
(日本農業新聞、7月28日付)
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ウクライナ農業再生への挑戦 6月上旬にIurii Mykhalovに電話して、「激戦地だった農家を訪ねてルポを書けないか」と相談した。 7月半ばにロシアとの黒海穀物協定の期限か来る。ちょうど1年前、トルコと国連の仲介でまとまったものだ。「行く」という返事が返ってきた。前線に近い2カ所の3農家のルポルタージュ。単純に「たいへんだ」というのではなく、できるだけ再生への息吹を探してほしいという注文に応えてもらった。3回連載。
(日本農業新聞、7月18、19、20日付、オンラインバージョンはこちら)
米国の農村をむしばむ分断 米国の農村を歩くと分かることがある。大規模農家を中心にほとんどが白人の男性で占められていることだ。人種、政治、農地所有という3つの軸から米国農村の分断を考えた(大日本農会農業、7月号)
カナダで出会った軽トラ農家 6月中旬から3週間近く北米を回った。カナダ・ブリティッシュコロンビア州のサクランボ農家を訪ねたとき、圃場の横に白いスズキの軽トラックがあった。聞くと、中古で数年前に購入したという。一般道も走れるし、何より、サクランボの畑を自由自在に走り回れるという。4WDで故障知らず、お気に入りだと話していた。
(日本農業新聞今よみ、7月4日付)
有機参入する企業 理念共有が大事 親会社との二人三脚で有機農業に参入している2社の事例を紹介した。一つはイオンアグリ創造(千葉市)で、もう一つがこだま試験農場(広島県世羅町)。どちらも社長に話を聞いた。取り組むきっかけなどは異なるが、両者とも親会社との密接な連携で有機農業に取り組む。イオンアグリ創造は現時点では慣行農法も一部にあるが、数年内に400ヘクタールの全てを有機栽培に転換する。単に農薬を使わない、化学肥料を使わないというのではなく、望ましい農業の姿をグループで考え理念を共有していた。
(日本政策金融公庫農林水産事業本部AFCフォーラム春2号、6月1日)
高等教育の場で農作業安全の講義を 22年10月のアイルランド訪問の教訓から、大学農学部や農業大学校など高等農業教育の現場で農作業安全を教えることの大切さを指摘した。現地から持ち帰った教科書を見ながら、日本でも教科書づくりを始めたらどうかと呼び掛けた。6月1日に東京農業大学のキャンパスで農業労災学会のワークショップが行われ、この内容を説明した。
(日本農業新聞今よみ、6月20日付)
オランダ農家等の地滑り勝利 農業者年金の機関誌「のうねん」にオランダの上院議員選挙で農家を母体とする政党が大躍進した事例を取り上げた。
(のうねん、6月号)
中国は食料自給政策を維持 在日中国大使館の洪志杰(ホン・ツジェ)参事官(農業農村担当)にインタビューした。日本と中国の間には外交面でさまざまな懸案が横たわるが、両国は 食料の分野では重要なパートナーだ。日本にとって中国は、米国に次ぐ 世界第2位の農林水産物の輸入先であり、輸出先としては世界最大の 市場となっている。参事官はインタビューで、中国の食料安全保障に関して、今後も食料 自給政策を維持すると述べるとともに、環太平洋連携協定(TPP) への加入などを目指し、国内改革に結び付ける方針を強調した。
(時事通信社デジタル週刊誌Agrio、5月9日付)
アグロエコロジーに注目 福島大学院人気 この春に誕生したばかりの福島大学大学院食農科学研究科に定員の2・5倍の学生が入学した。有機農業や営農型太陽光発電の分野で活躍する社会人らを引きつけたのは、日本の大学院で初めてとなる農業生態学(アグロエコロジー)のプログラムだ。たんに化学農薬や肥料を使わないだけではなく、土壌とそこに住む多様な生きものに注目して耕起を控えて持続可能な農業をめざす。世界中でアグロエコロジーへの関心が高まっている。(食農連携機構コラム、4月27日付)
G7農相会合声明を読み解く 外交文書は読んでもわかりにくいところがある、「〇〇を想起し、〇○に留意し、〇○に認識し...」みたいなフレーズが延々と続く。何が言いたいの分からない。そこでテキストマイニングの手法を使って、23年に宮崎市で開いたG7農相会合の共同声明を、前年にドイツで開いた時のものと比較を試みた。
(日本農業新聞、5月4日付)
干ばつの慈雨か洪水か 激しい干ばつが続いていた米カリフォルニア州で昨年秋から記録破りの豪雨や降雪が続いた。水不足で22年産は平年の半作となったカリフォルニア米産地にとっては期待の水だが、過ぎたるは及ばざるがごとしの危険性もあるという。米海洋大気局(NOAA)の記者会見を聞いた。5月は平年を下回る気温で雪解け水が一気に流れ出る心配は薄れているものの、土中水分が高く堤防が決壊しているところもある。鉄砲水の心配はこれからも残るようだ。
(日本農業新聞、4月29日付)
G7会合ロシアが影の主役 宮崎市で4月下旬に開かれていた先進7カ国(G7)農相会合で、影の主役となったのは会議に参加していないロシアだった。海外メディアは「G7が黒海穀物合意の延長求める」と、ウクライナの穀類輸出を巡る会合の声明を報道。国際的な焦点はロシアによる同合意の延長の行方に絞られていた。
(日本農業新聞今よみ、4月25日付)
オランダ上院選で農家政党が躍進 オランダの上院選挙で、農家政党が躍進した。ルッテ政権が進めてきた窒素排出制限に反発する農家の不満が背景にあるが、人口で1%しか占めない農家がなぜ、政治を大きく動かしたのか。
(ニュースソクラ、4月20日)
福島大学院に多士済々 2023年度から福島大学大学院で、日本で初となる農業生態学(アグロエコロジー)プログラムが始まった。想定をはるかに上回る社会人大学院生が入学。顔ぶれを見ると、多士済々の人たちが集まった。
(日本農業新聞、4月21日付)
肥料高騰の波紋 下水汚泥から肥料に注目 肥料原料の値段が高騰し、にわかに注目を集めているのが下水汚泥だ。作物の生育に欠かせないリンや窒素を含んでいるため、肥料コスト上昇に苦しむ農家が関心を寄せる。
下水浄化施設を運営する地方自治体も、大量に発生する汚泥の有効利用に期待を寄せる。使う側と作る側の利害はぴったりと一致するように見えるが、乗り越えるべき課題は多い。かぎを握るのは消費者の理解だ。
(ニュースソクラ、3月29日)
オランダ農家党が地滑り勝利 田舎の不満吸い上げ オランダで農家主導の政党が、上院議員選挙で第1党に躍進した。ルッテ首相が率いる政権は厳しい窒素排出制限を進めてきたが、反旗を翻した農家を地方有権者が支援した。人口比率で1%に満たない農家の怒りが政治を動かしたのはなぜか。グローバリズムに対する素朴な反発が背景にある。
農家の抗議政党がオランダの投票で衝撃の勝利(Farmers’ protest party win shock Dutch vote victory)」
英公共放送BBCが選挙直後に報じた見出しが、波紋の大きさを伝えている。
(食農連携機構コラム、3月27日)
欧米の有機農業は農家の知恵を重視 世界中で有機農産物の需要が拡大しているものの、供給が追いつかない。米国政府は先輩の有機農家の知恵と経験を生かそうと、新しい事業を始めた。欧州は農家の道具箱など、実践的な取り組み方法で有機や農薬削減をめざす。一方の日本は上から目線が抜け切れていないように見える。
(西日本新聞、3月22日付)
米国では和牛もWagyuも好調 米国で手広くWagyuビジネスを手がけるSPBの平井隆之さんに米国市場の状況をインタビューした。東京都内で始まったFOODX23に参加するため来日したところで話を聞いた。新型コロナウイルス感染拡大や飼料価格高騰の中でも米国内のWagyuビジネスは儲かり、新たな投資や参入が相次いでいるという。市場も拡大している。日本からの和牛輸出にはブランド化を浸透させることが大切で、たんなる和牛だけでは物足りないと指摘した。
(日本農業新聞、3月20日付)
オランダの農家がちゃぶ台返し びっくりするニュースがオランダから飛び込んできた。農家が主体の政党が、先週の選挙で大躍進、上院議員数でトップの15議席を確保した。農家の比率は1%未満だが、不満を抱える地方有権者の支持を追い風に議席を伸ばした。
(日本農業新聞今よみ、3月21日付)
20代の時に40日間、米本土を回った。福岡の出先で日本農業新聞の記者をしていたが、米国務省に招待された。その時、ひょんなことからレーガン米大統領とビデオで共演する話が舞い込んできた...
(のうねん1月号)
在日米大使館のモーガン・パーキンズ農務担当公使にインタビューしました。日米が農産物輸出国として協力していくことが大切だと指摘。科学的で透明性の高い立場から国際交渉で「共闘」したいと話しました。
(時事通信アグリオ、2023年1月)
米国は世界最大の有機食品市場で、成長率も高い。しかし、農家の供給が追いつかない。有機栽培していながら認証を取得していない農家の支援に米農務省が動き始めた。印象的なのは農家同士の教え合いを大切にすることだという。
(日本農業新聞「今よみ」、2023年1月10日付)
新しい農業基本法の議論が進んでいるが、農作業事故を防いでいくという視点で議論が全く行われていない。年のはじめの「今年よみ」でアイルランドの事例に触れながら論じた。
(日本農業新聞「今年よみ」、2023年1月1日)
国内農業を振興させるサプライチェーンと題し、平時から国産農産物をどう国内需要に組み込んでいくかを論じた。生物多様性や持続可能性などを理念に掲げる外食企業との連携の大切さを二つの例から報告した。リンク先から全文を読むことができる。
(日本政策金融公庫農林水産事業本部「AFCフォーラム」、冬 1号)
米のバイデン新政権の農政を占う トランプ大統領はまだ敗北を認めていないが、バイデン氏は21年1月からの新政権発足に向けて準備を加速している。24日には主要閣僚の構想を明らかにする見通しだが、農業政策の分野では何がかぎを握るのか。とりあえず、農務長官選びが大きな課題となりそうだ。
(日本農業新聞、11月24日付)
スマートな農業の未来 今、農業で明るい話題を探すと、真っ先に浮かぶのはスマート農業だろう。高齢化や過疎で人手不足に悩む農村にとって、スマート農業魅力的に映るのは確かだ。農水省も予算の面から後押しをする。しかし、手段としてのスマート農業ばかりが語られ、その先にある理念や目的が見えない。農産物輸出振興など、安倍、菅政権はさまざまな目玉を打ち出してきたものの、いずれもその手段を使って何を目指すのかが明確ではないように思う。
(のうねん、11月号)
農業高校が元気だ! 学ぶのは「課題解決策」! 全国の農業高校で農業を通して課題の解決策を探る楽しさが、多くの生徒を引きつけています。地元の土を使って洗剤を開発したり、盆栽を育てて欧州に輸出したり、サラブレッドの子馬を育て1頭2500万円で販売したり。そんな高校生たちの姿を紹介します。朝日新聞社EduAで、栃木県の鹿沼南高校などの事例を取り上げて紹介しました。
農業高校はかつてのように就農だけがゴールではありません。非農家出身が多くを占める農高生にとって農業はワンダーランド。身近な自然や生きものと関わることで未来の想像力を磨き上げる場となっているように思いました。
(朝日新聞社EduA、11月13日)
田舎のトランプ熱が示すもの 負けたとは言え、トランプ米大統領は選挙で7000万票を超える支持を得た。米国で地方のニュースを報道するDaily Yonderによると、トランプ氏は田舎に行けば行くほど高い支持率を得た。しかも、4年前の前回よりも支持率は高まっている。同紙の編集長によると、「田舎と「農家」はかならずしも一致しないと言うが、農家のトランプ支持と読み替えても良いと思う。
「ようやくピエロを追い出すことができた」というのが知識層の一般的な受け止めだ。私も同意する。しかし、それだけでは田舎と都会の対立は解けないだろう。グローバリゼーションで田舎の工場の海外移転が進んだ事例を取材したことがある。「靴屋がなくなり、映画館がなくなり、毎週末の町の賑わいが消えた」という声をあちこちで聞いた。トランプ現象をたんなる教育水準の低い白人の戯言とみるわけにはいかない。(日本農業新聞、11月10日付)
集落営農事業継承の課題 高齢化と人口減が続く中山間地帯。地域の農業を守ろうと、21世紀に入り各地で集落営農のための農業法人が生まれたが、世代交代の時代を迎えている。鳥取県西部の二つの集落の農業法人を取材した。人手は減る中、若い常勤職員の雇用が求められる一方で、組織に頼りすぎると農業への参加意識が薄れる。この課題をどう乗り越えるのか。二つの農業法人は異なる手法で解決策を模索してきた。
(日本政策金融公庫、AFCフォーラム11月号)
アメリカの農家は、なぜトランプが大好きなのか オンラインニュースサイトのNewspicsの洪由姫記者が米国農家がなぜトランプを支持しているのかを書いた。テキサス州の農家を取材した他、研究機関などの調査をもとにして「短期的には痛みもあるが,長い目で見れば」という声を紹介している。洪さんから連絡を受けてコメントを述べた。
(Newspics、11月1日付)
アルゼンチンのGM小麦は足踏み 13日付で書いた下の記事の続報。アルゼンチンは世界で初めてGM小麦の認可を発表。ただし、最大の顧客である隣国ブラジルの製粉業界が「ノー」と言っているため、実際の商業栽培は見通しが立っていないようだ。
小麦は人間が直接口にするため、GMが一般的になってきたトウモロコシや大豆とに比べて普及が進まない。というか、商業栽培が認められていない。振り返れば、1990年代に旧モンサント社などの企業でトウモロコシ、大豆に続いて研究開発が進んでいたが、21世紀に入っても商品化できなかった。
その時に立ちはだかったのが日本の製粉業界。幹部らが訪米し、通信社のインタビューを受け、「出回ったら米国産は買わない」と明言。年間に500万トンの小麦を輸入する最大の顧客からのきつい言葉に、GM小麦熱は急速にしぼんだ。
2008年からの食糧危機で再びGM小麦が息を吹き返す。当時は穀類は完全な売り手市場。買い手側と売り手側の立場が逆転した。当時、駐日米大使館公使が帰国する際にインタビューした時、「そんなGMを毛嫌いすると、この先日本は穀類を買えなくなるぞ」と捨て台詞を吐いたことを覚えている。
しかし、食糧危機は長続きしなかった。そして買い手側が上位に立つと、GM小麦の話は立ち消えになった。
さて、アルゼンチンのGMの未来はどうなるか。まあ、しばらくは塩漬けだと思う。
(日本農業新聞、10月25日付)
AIが農業の現場に浸透。ヒトはどう付き合うのか 「トマトで勝つには」をテーマにした農業ビジネスベジ(イカロス出版社)の秋号に、スマート農業の話題を書いた。中で触れたが、1997年にイスラエルに取材に出かけた時のメモや記事を読み返してみると、当時の夢のデジタル農業が、今では普通に国内の温室の中でみることができる。両者の違いはAIだろう。
(農業ビジネスベジ31号、10月22日)
アルゼンチンで世界初のGM小麦認可 アルゼンチン政府などは10月8日、ヒマワリ由来の干ばつ耐性の遺伝子持つ遺伝子組み換え小麦の生産と販売を認可した。大豆やトウモロコシ、コットンなどではすでにGMが普及しているが、人間が直接口にする小麦の場合、抵抗感が強くこれまで認可された事例はない。大手バイテク企業による開発は取り組まれたものの、需要者の警戒感で実用化されてこなかった。伏兵のアルゼンチン企業と政府が世界初の認可を決めた。ただし、輸出の半分を占める隣国ブラジルでの認可が商業栽培の条件だそうで、しばらくは市場に流通しない見通しだ。農水省によると、日本はある全治からの輸入はしておらず、今後も輸入の予定はないという。
(日本農業新聞、10月13日付)
スマート化で何をする? スマート農業が花盛りだ。無人の農業機械が畑を走り回り、ドローンや衛星から送られた情報に従って耕したり収穫したりする事例が、全国各地で登場する。高齢化や過疎で農村の人手不足が深刻な中、魅力的に見えるのはたしか。省力化と品質向上の一石二鳥になるのであれば、期待されるのは当然だ。
政府のスマート農業関連予算は拡充されている。デジタル化に熱心な菅政権で、さらに農業のスマート化が進むことは確実。目指すのは農家がいち早くスマートになって、競争力を高めることだ。この場合の競争相手は、国内の他産地や輸出先の競合国などだろう。政府のスマート農業は、安倍前政権から続く攻めの農政とぴったり歩調を合わせている。成長するには競争するしかない。他人を蹴落としてでも強い農業を目指しなさいというわけだ。
新しい技術は私たちの暮らしや経営を便利にする一方で、社会のひずみを広げることもある...
(日本農業新聞、10月6日付)
露骨な選挙対策 トランプが巨額の農業補助金 米国政府の農家向け補助金がかつてない規模まで膨れあがっている。中国との貿易摩擦や新型コロナウイルス感染によって、農家が受けた打撃を緩和するというのが公式説明だが、11月の大統領選挙を控え、自らの地盤を固めたいというトランプ氏の狙いも透けて見える。
米農務省によると、2020年に農家が連邦政府から受け取る補助金総額は372億ドル(約4兆円)で、昨年を7割近く上回る見通し。過去最高額だ。さらにトランプ氏は最近中西部で開いた選挙集会で、130億ドルを追加して農家を支援すると約束した。
元々は自分が火種を作った中国との貿易摩擦で、主力の穀類や食肉輸出などに急ブレーキがかかった。コロナ対策でも政権の不手際は明白。次々と問題を引き起こし、批判が出ると次々に補助金で埋め合わせるトランプ氏の手法は、まさにマッチポンプと言えそうだ。
以下は、NewsSocraでお読みください。
(ニュースソクラ、9月30日付)
9月2日に奄美大島沖で遭難した家畜運搬船 1カ月ほど前、家畜5867頭を積み込んだパナマ船籍の船が奄美大島沖合で沈没した。台風9号が原因とみられている。海上保安庁によると、43人の乗組員の内、2人が救助され、1人が死亡した。残りは依然として行方が分からない。なぜ、ニュージーランドから多数の初妊牛が中国の港に向かっていたのだろうか。
(日本農業新聞、9月27日付)
千葉市の2農家を紹介 新型コロナ感染拡大で、取材のための移動が不自由になった。そこに、農業ビジネス雑誌から地元の千葉市で取材しないかと相談。やはり千葉市在住のふだんは航空機を撮影するカメラマンと農家に向かった。イチゴ農家2軒はどちらも新規参入。しかし、栽培方法に大きな違いがあった。農業取材で地元を歩くのは初めてだったが、新鮮な驚きもあった。
(のうねん291号、9月)
テレビ朝日大下容子ワイド!スクランブルに出演 北関東で相次ぐ家畜の盗難。その背景を説明してほしいと依頼があり、自宅からズームで出演した。600頭を超える子豚の泥棒は個人の窃盗を超えたプロの仕業ではないかなどと解説した。
(テレビ朝日、8月27日)
国産小麦とベーカリーを結ぶ縁 チェーン店とは異なる個性的なベーカリーを街角のあちこちで見かけるようになった。
ルヴァン、フォカッチャ、クッペ。白くて柔らかい米国スタイルの食パンとは一線を画したさまざまな製品が店頭に並ぶ。多くは特徴のある国産小麦粉を原料にする。疎遠だった小麦農家とベーカリーの間を取り持つのは、中小の特色ある製粉会社だ。
酷暑の8月上旬、神奈川県平塚市にある製粉会社ミルパワー・ジャパン社の作業場を訪ねると、まるで冷蔵庫の中にいるような寒さ。収穫を終えて納入されたばかりの小麦が積み上がっていた。20キロ圏内の契約農家から出荷されたもので、同社は年間に40トンの小麦を挽(ひ)いて販売する...
(日本食農連携機構=ニュースソクラ、8月25日)
大学農学部人気の3つの理由 朝日新聞社のEduAオンラインで、農学部新設の理由が取り上げられた。書いたのは同社の教育担当、山下知子記者。先日、築地のCAFEでインタビューを受け、農学部人気の背景を説明した。どうも、この話題は当たり所が良いみたいで、いくつかのメディアからコメントを求められた。私が言っていることは基本的に一緒。農学部に対するまなざしが変わってきたこと、就職先が堅調なところが多いこと、農業そのものに対する印象が大きく変化していることなどが関係していると説明した。
(朝日新聞社EduAオンライン,8月24日付)
米国農業5つの落とし穴 JAcomオンラインに新型コロナウイルスの広がりと食料をテーマに記事を書いた。感染者と死亡者数が世界でいちばん多い米国。世界最強を標ぼうする米国農業にもパンデミックの影は忍び寄る。一時の混乱は収まり、現場は平静を取り戻した。しかし、地球温暖化やインフラ劣化など米国農業が抱える深刻な課題は根深い。長い目で見れば5つの落とし穴が待ち構え、米国農業の没落の始まりになる可能性もある。
(JAcom8月24日付)
8月10日に国産新麦の収穫前線の解禁が始まった 国産小麦の収穫に合わせ「新麦」を使ったパンや料理の売り込みが始まった。NPO法人新麦コレクションは全国で新麦収穫前線のイベント「麦フェス」を進める。10日には、九州産が販売を解禁。2カ月かけて収穫前線が北海道まで北上する。新型コロナウイルスの感染拡大で大がかりなイベントは見送られるが、パン店(ベーカリー)店頭やオンライン販売で、地域の旬の味が楽める。
10日、福岡市で地産地消を掲げるベーカリー、ブルージャムの店頭に新麦を利用したパンが並んだ。原料の小麦粉は熊本製粉(熊本市)がひいたプレミアムT。シェフの櫻井広基さん(38)は「九州産の中で小麦の特徴をよく表している。今回は北海道産とのブレンドでおいしさを引き出してみた」と話す。
(日本農業新聞、8月11日付)
ところで、麦フェスは次のサイトでオンライン限定販売している。
https://mugifes.jp/
日米貿易協定WTOに通報せず ニュースソクラに日米貿易協定がWTOで宙ぶらりん状態にあることを解説した。基本的には日本農業新聞に書いたことを書き分けたもの。外務省がウェブサイトで通報の大切さを強調しておきながら、自ら点に向かってつばを吐いていることを指摘した。
(Yahoo!ニュース、8月6日付)
怪しい「国益」にご注意! 日米貿易協定は年頭に発効した。環太平洋連携協定(TPP)の範囲内で農産物市場を米国に開放した。「体質強化対策で農業への打撃はほとんどない」と日本政府は説明した。予定される同協定の追加交渉でも、農産物関税を取り上げることは「想定していない」と茂木敏充外相は断言している。
新たな農産物市場開放の圧力を「心配するな」というありがたいお墨付きだが、本当に日本政府の説明は信頼できるのだろうか。
ちょっと怪しい。
(日本農業新聞、7月27日付)
穀物需給の先行きは当面不安なし 国連食糧農業機関(FAO)のシニアエコノミストで、AMISと呼ばれる国際穀物情報提供機関の事務局を担当するアブドレザ・アバシアン氏に、新型コロナウイルス感染拡大の中、農業貿易がどう動くかを聞いた。豊富な在庫と生産で、穀物需給は安定していると強調する半面、感染長期化や消費の変化など不安定な要素が残ると警告した。基礎穀物の需給に、当面、大きな不安はない。二つの理由があるという。とくにインドに注目していたというくだりが面白かった。新型コロナウイルス感染が広がる中、労働力に依存するインドの農業がどうなるか。結局、心配は杞憂に終わったという。アビーの休暇中に電話で話を聞いた。ローマにあるFAOのオフィスに電話したら「休暇中」。留守録を入れておくと、その日のうちに旅行先から折り返してくれた。インタビューをしたいといったら"Why not?"。機関銃のような勢いで30分以上語り掛けてきた。
(日本農業新聞、7月24日付)
日米貿易協定がWTOで宙ぶらりん 今年1月1日に発効した日米貿易協定が、通報と呼ばれる世界貿易機関(WTO)の手続きをしていないことが分かった。半年以上の放置は極めて異例。両国政府間の思惑の違いで、日米貿易協定は中ぶらりん状態に置かれている。
日本の外務省は「現時点で日米貿易協定はWTO通報していない。日米間で調整を続けているが、交渉中なので内容は明らかにできない」(北米2課)と記者に回答した。
過去の17の経済連携協定(EPA)では多国間で結んだ東南アジア諸国連合(ASEAN)とインドの例を除けば、すべて発効日かそれ以前にWTO通報してきた。
なぜ、今回は通報ができないのか。日米交渉は、2018年9月に安倍晋三首相とトランプ米大統領の首脳会談で始まり、1年後に合意。年明けから協定は発効した。日本は牛肉などで環太平洋連携協定(TPP)並みの譲歩を強いられた。一方で日本が求めた米国向けの輸出額の3分の1を占める自動車・同部品の関税撤廃は、事実上棚上げされた....
(日本農業新聞、7月23日付)
Still Hanging Up in the Air USJTA is not yet notified to WTO
YAMADA, Masaru for the Japan Agricultural News July 23, 2020
It was learned the USJTA, which took effect on January 1, this year, has not been notified to the WTO. It is unusual to be left for more than half a year. The reason why it is still hanging up in the air, is that the two governments are in a different position over the agreement.
An official at the MOFA of Japan has told “At present, the agreement has not reported the WTO. We continue to adjust between Japan and the U.S., but the details cannot be disclosed because it is under negotiation. In the past 17 Economic Partnership Agreements (EPAs), except for the Southeast Asian Nations (ASEAN), which are multilaterally signed, and India, all reported to the WTO on or before the effective date.
Why can't they make a report this time? The Japan-US negotiations began in September 2018 with a summit meeting between Prime Minister Shinzo Abe and US President Trump and agreed a year later. The agreement came into effect at the beginning of the year.
Japan was forced to make concessions similar to the Trans-Pacific Partnership (TPP) for beef and other farm products. On the other hand, the elimination of tariffs on automobiles and parts, which account for one-third of the amount of exports to the United States demanded by Japan, was virtually shelved.
The Japanese government has explained that "it is a premise that US tariffs will be abolished in further negotiations", but it is natural that it is difficult to notify the WTO of the agreement if the major "results" are iridescent. In the Japan-US joint statement, both countries have promised the further negotiations after the agreement came into effect. It seems reasonable that the current agreement is in the middle stage, so the notification is delayed. However, it is not reasonable if additional negotiations are not expected to begin even after half a year.
The notification has an important meaning in the WTO. The WTO prohibits unfair treatment of trade among member countries. The EPA is a kind of having its own way against all reasons that sets rules that give preferential treatment only to countries within the agreement. However, there is a mechanism that allows the agreement to be subject to the elimination of tariffs within almost all areas of trade among EPA countries. "
It is obligatory for member countries to notify the WTO Secretariat of EPA's text, schedule, related information, etc. as soon as possible so that the other member countries can examine the agreement" said an official at the International Trade Division of the MOFA of Japan. The agreement, which came into effect at the beginning of the year, will continue to reduce import tariffs on beef and other products only for the United States without notifying to the WTO. It is far from a fair-trade idea if a strong country takes its own special treatment. It seems that Japan, which has been emphasizing WTO, was dragged by the Trump administration, which puts "the United States first" and does not attach importance to WTO. The US side has a policy of seeking further opening of the agricultural products market in Japan through additional negotiations and is free to do anything.
Other member countries are looking critically. At the WTO TPR meeting for Japan on July 6, the European Union, with the US-Japan trade agreement in mind, stabbed a nail to prevent Japan from violating WTO rules1). At the same time, South Korea was ironic that the Japan-US trade agreement was delayed in reporting, saying that " Japan has been complying with its notification duties in a diligent manner."2)
Professor Takumi Sakuyama of the Faculty of Agriculture, Meiji University said, "The failure to inform all member states of the agreement violates the WTO rules. The level of the US tariff elimination rate claimed by the Japanese government is far lower than they have claimed. They are afraid that if they notify with information, they might be criticized by other countries."
1) “Last but not least, the EU expects that FTAs concluded by Japan with other WTO Members comply with its WTO commitments, in particular with the requirement to cover “substantially all trade”, https://eeas.europa.eu/delegations/world-trade-organization-wto/82121/eu-statement-ambassador-jo%C3%A3o-aguiar-machado-trade-policy-review-japan-6-july-2020_en
2)http://overseas.mofa.go.kr/ch-geneva-en/brd/m_8814/view.do?seq=758747&srchFr=&srchTo=&srchWord=&srchTp=&multi_itm_seq=0&itm_seq_1=0&itm_seq_2=0&company_cd=&company_nm=&page=1
千葉市の農業新規参入者を訪ねた 長距離の取材が難しい中、足元の千葉市内の新規参入3農家を訪ねた。イカロス出版社の依頼。コラムは毎号書いているが、今回は農家の取材も担当した。訪れた農家はいずれも個性的で、魅力たっぷりだった。千葉市はすんでみて分かるが、偉大な田舎。県庁所在地としての機能、東京のベッドタウンとしての役割と同時に、農業も盛ん。千葉市は独自の農政センターを持って、新規参入のための手厚い研修や農地取得の支援をしていた。
(農業ビジネス・ベジ30号、7月22日)
マスク争奪戦と食料安全保障 6月半ばになって自宅にアベノマスクが届いた。すでにもっと高機能なマスクが手に入るようになっていた。「忘れたころに」というのは言い過ぎかもしれないが、遅くて役に立たない首相からの贈り物だった。日本の食料自給率は先進国の中でも群を抜いて低いのは周知の通り。パンデミックが現実のものとなった今、食料安全保障のあり方をもう一度考え直すことが必要ではないか。人々は喉元過ぎれば熱さを忘れる。私もいろいろと忘れっぽくなったからそれはよく分かる。鉄は熱いうちに打てか。
(のうねん290号、2020年7月17日)
農産物輸出で印象操作続く ニュースソクラに最近の農産物輸出拡大を巡り政府が誇大広告をしていることを書いた。政府による農産物輸出拡大の印象操作が進んでいる。輸出額は5月に今年初めて前年を上回り、農水省は「巣ごもり需要拡大で日本産の米や卵が売れたため」と胸を張った。メディアも説明に沿って報じているが、針小棒大に盛った手柄話をうのみにしたように見える。農家の懐とは縁遠い1兆円、5兆円という威勢の良い輸出目標だけが踊っている。
(ニュースソクラ、7月9日)
アジアの家畜衛生異変あり 国際獣疫事務局(OIE)アジア太平洋地域代表の釘田さんに話を聞いた。21世紀に入った辺りから家畜疾病が大きく問題になってきた。大規模な開発で動物と人間の境目が変わり、地球温暖化などの環境悪化も関連している。ちょうど、国会で同事務所が法人格を得られるための協定が通過したばかり。「これで事務所の外国人スタッフも他の国際機関並みの待遇(例えば所得税の免除)ができるし、事務所名で口座も開ける」と話していた。
(日本農業新聞、7月5日付)
農産物輸出5兆円の舞台裏 農政ジャーナリストの会が編集し、農山村文化協会が発行する季刊誌の日本農業の動き205号「どう生かす都市農地」に農産物輸出問題を書いた。一昨年から問題意識を持って取材を続けてきた内容だ。私の見る限り、農水省の中で5兆円の輸出目標を達成できると本気で考えている人は一握り。しかし、輸出振興策は農政の重要な柱の一つとして進行する。
(日本農業の動き205号。2020年7月)
安倍農政に地方からNOの声 農家戸数の減少が止まらない。農産物販売農家戸数は2005年に196万戸あった。それが19年には113万戸と4割減った。農水省の外郭研究機関である農研機構の研究者の予測によると、2025年にはこれが91万戸にまで減少する。その減少傾向をグラフで単純に伸ばすと、後20年もすると田舎から農家が消え去ることにもなりかねない。農家戸数の減少は、政府が掲げてきた強い農業の実現という視点からすれば望ましい姿だ。農水省は1990年代に構造改革政策への転換を鮮明に打ち出した。効率的・安定的な農業経営をめざし、政策支援を一部の担い手に絞った。零細で効率の悪い農家に退場してもらい、その農地を効率的な農家や法人に集めることで強い日本農業を実現しようとしてきた。しかし、全国町村会は昨年11月に「ノー」の提言を突きつけた...
(NewsSocra 7月1日付)
Rural can support Single Mothers Ms. Nomura, a single mother at 27 years old of Kamikawa-town in Hyogo prefecture goes to a kindergarden and drop her two kids every weekday. Then she goes to a farm by eight twenty, and work until five thirty PM as a farmworker there. She leaves the office and picks up her kids at five fifteen. She is one of single mothers who moved in the town from the urban area to change their life. According to a survey conducted by a governmental research institution, more than a half of sigle mothers in Japan suffer poverty.
(日本農業新聞6月23日付)
「中国に約束通り農産物を買わせよ」 米国の192農業団体が16日、連名でトランプ大統領に米中農業合意の履行を迫った。中国は20世紀末から米国産農産物の輸出市場として急速に拡大。しばらく海外顧客のナンバーワンの地位を続けたが、トランプ政権の米中貿易戦争のあおりで輸出は急減した。その後、首脳会談で数度にわたり「合意」がなされたが、両国間の緊張関係は続き、約束は果たされていない。「せめて最初の合意だけでも守らせよ」という控えめな要求をぶつけた。全体としてマイルドな書き方で、大統領の貢献をたたえている論調。ほめ殺し?
(日本農業新聞 6月18日付)
久しぶりの取材 地元で 4月からほとんど自宅で仕事。都内でのインタビューはまだ時々あるが、まったく現場情報のインプットができないのはつらい。ようやく最近、農業雑誌からの依頼で自宅から車で30分の農業関連施設を訪問し、話を聞くことができた。新規参入農家も3軒。いずれも特徴ある人とたちで充実感がいっぱい。COVID19の影響は受けているが、立ち向かっている姿に敬服。写真は同行した航空カメラマンの小久保陽一さんから取材姿の一枚をもらった。
シングルマザー移住で地域に活力を 人口減少に悩む地方。安定した職と居住環境を求める人たち。兵庫県神河町は若い片親たちの移住促進で双方に利点がある政策を進めている。
(日本政策金融公庫AFCフォーラム5月号)
農業情報学会のネット大会に満足 新型コロナウイルス感染の拡大で、多くの農学系学会の春の研究大会が中止に追い込まれた。そんな中、農業情報学会は,短期間でビデオ会議を使ったネット大会に切り替えた。2日間、私も参加したが、研究発表をじっくり聞くという点では利点が多いことを実感した。参加者に実施した事後アンケートでも9割が運営全体に「満足」と回答した。ただし、交流や意見交換などの面では物足りなさもあった。
(日本農業新聞6月4日付)
台頭する新興国農業と先進国 全国農業共済協会が発行する月刊誌に、世界の農業の動きを書いた。欧米の先進国を中心にして回ってきた世界の農業貿易が、21世紀に入って変わりつつある。欧州や米国はそれぞれの対応で競争力の維持を図る。日本は何をするべきなのか。
(月刊NOSAI6月号)
種苗法改正案見送りに考える 政府が今国会(第201回)で成立を目指していた種苗法改正案の審議が、与党の判断で見送られた。自家増殖の制限に農家の支持が得られなかった他、種苗の企業支配を懸念する市民から幅広い批判が集まった。強圧的な官邸農政の終わりの始まりと見ることもできる。
(NewsSocra5月28日付)
ダイヤモンドオンラインで「大学農学部人気」についてインタビューされる! 大学農学部人気。農業に対するまなざしが変わってきた。実践的な学問へのあこがれ。安定した就職先。これまで他の出版社などで記事を書いてきたが、ダイヤモンドオンラインのライターからインタビューされた。私が以前書いた東洋経済オンラインと基本的には同じことを説明して記事になった。
(ダイヤモンドオンライン5月26日付)
「マーケットイン」に異議あり! ご説ごもっともではあるが、最近のマーケットイン重視の論調は少しおかしいのではないか。市場におもねるのではなく、市場を育てるような切り口が大切だと書いた。
(のうねん289号、2020年5月16日)
食品ロス・廃棄を問う 日本政策金融公庫のAFCフォーラム4月号でSDGsに関連し、食品ロス・廃棄の特集を取り上げた。この中で国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所長のボリコM・チャールズさんに話を聞いた。編集部から適任者を相談され、ボリコさんを紹介。その流れでインタビューもした。堪能な日本語で1時間半。莫大な食品ロスと廃棄の罪深さをたっぷりと語ってくれた。次のサイトで全文を読むことができる。同5月号ではSDGsに関連し誰でも活躍できる社会を目指したシングルマザー支援の事例を紹介した。冊子はすでに発行されているが、オンラインはもう少し後になる。
(日本政策金融公庫AFCフォーラム4月号)
トランプ版大盤振る舞い! トランプ米大統領は自らの支持層の人たちには大盤振る舞いをいとわない。11月の大統領再選に向け、農業分野の新型コロナ対策では巨額の直接農家補償の方針を出していたが、4月になって追加を決めた。都市封鎖で売り先を失った野菜やチーズ、肉を米政府が大量に買い上げ、生活困窮者に配るという前代未聞の対策が動き出す。
「われわれの農家や牧場主は偉大な米国人だ。文句も言わず、彼らはやることをやる」
トランプ大統領は4月中旬、農業分野でも影響が広がる新型コロナ対策として、ハーベスト・ボックス(収穫箱)政策を打ち出した。農家は大統領選挙勝利のための大切な支持基盤だ.....
(食農連携機構コラム、4月30日)
バッタが西アフリカに行ったらたいへんだ! バッタ博士として知られる前野浩太郎さん(バッタを倒しにアフリカへ=光文社新書=著者)に話を聞いた。前野さんは日本国内にいるが、時節柄自宅で勤務。そこで、電話インタビューとなったが、予定よりも誌面にするのが早まり、ばたばたと作業を進めた。しかし、彼の話は分かりやすく面白かった。著書のように歯切れも良い。アフリカでは気候変動で激しい干ばつと降雨が繰り返されている。干ばつで天敵が減ったところに雨が降ると、バッタが人知れずに増殖をするようになった。私たち人間があまりバッタの生態を知らないとも前野さんは指摘した。今懸念しているのはバッタのインドや中国行きではなく、西アフリカの被害だ。
(日本農業新聞、4月19日付)
おいしさがすべてではない 日本農業新聞のコラムに、世界で人気を集めている日本産ウイスキーのことに触れた。国際品評会で高い評価を受け続けて受賞しているのが自慢だ。こうした品評会で最近話題を呼んでいるのが、台湾産ウイスキーである。最先端を行くK社の製品は、日本産をしのぐ高評価を得るものもある。半年前、台湾に行った時、同社の直営店を訪ね味見を楽しんだ。確かにおいしい。
日本でこの話をすると、大半の人が「えー、台湾のウイスキーなんかおいしいの」と馬鹿にしたような顔をする。その表情を見て思い浮かべるのが、10年前にスコッチウイスキーの有名なM社の蒸留所を訪ねた時の反応だ。
この蒸留所は日本の酒造企業が買収していて、売店では親会社のウイスキーも並んでいた。案内してくれた現地ジャーナリストに、お礼を兼ねて日本産を買って渡した時の顔が全く一緒だったのだ。
「えー、日本のウイスキーなんかおいしいの」....
(日本農業新聞、4月14日付)
フルブライト奨学生の2021年度募集開始 日米教育委員会から同窓会を通じて知らせがありました。お知らせします。
日米教育委員会(フルブライト・ジャパン)は日本人を対象としたアメリカ留学 2021年度フルブライト奨学生の募集を開始いたしました。応募方法はオンラインのみで、応募期間は 2020年4月1日 12:00 ~2020年5月31日 23:59です。
■奨学金プログラムの種類
-大学院留学プログラム
-大学院博士論文研究プログラム
-研究員プログラム
-ジャーナリストプログラム
対象となる学術分野は、米国および日本、さらにはグローバル社会に関連した人文・社会科学、あるいは学際的な学問分野で、自然・応用科学分野に関連する研究計画の場合は、人文・社会科学分野を主眼とした学際的研究で、かつ政策、社会、または倫理に関わるもののみ応募対象になります。
応募資格要件、給付内容等はプログラム毎に異なります。
募集要項(詳細)、フルブライト奨学金の特色、日米奨学生リスト等はウェブサイトにてご確認ください。
https://www.fulbright.jp/scholarship/
フルブライト奨学金は、奨学生に対してそれぞれの専門分野の研究を進めるための財政的援助を行うとともに、何らかの形で日米の相互理解に貢献できるリーダーを育成することを目的としています。またフルブライト奨学生は各自の研究活動を行うだけでなく、それぞれの留学先や地域社会・文化等の様々な活動に積極的に参加することで両国に対するより一層の知見を広める事が期待されています。
問い合わせ先:日米教育委員会(フルブライト・ジャパン)
フルブライト交流部
〒100-0014東京都千代田区永田町2-14-2 山王グランドビル207
TEL: 03-3580-3233 / FAX: 03-3580-1217
Email: program@fulbright.jp
https://www.fulbright.jp
和牛『バブル』崩壊への危機感 畜産地帯を歩くと景気の良い声ばかりが聞こえてきた。もちろん、豚熱(コレラ)などの被害にあったところは別だが、牛肉や豚肉価格、子牛価格のほか、生乳価格も値上がりが続き、畜産農家の収益性は大幅に上昇した。どうも昨年辺りから変調気味になってきたように思う。特に和牛の『バブル』ともいえる枝肉価格の上昇は明確に下げに転じている。新型コロナ感染拡大のはるか前からで、各種自粛で高級外食店が苦しんでいるのを見ると、さらに事態は悪化するだろう。政府は行け行けどんどんの政策を変えないどころか、畜産クラスター事業などの大増産に向けた支援策を手厚くしている。農家は投資額を膨らませ、一層の収益拡大を狙うが、経営基盤の危うさが忍び寄っているように感じる。畜産経営の教訓は、良いときもあれば悪いときもあるというものだ。政府も業界も忘れてしまったようだ。肉や生乳価格がもっと下落したら。比較的落ち着いている飼料価格が値上がりしたら。ほぼゼロの借入金利が上昇したら。経営を脅かす地雷があちこちに転がっているように見える。「今はセーフティーネットを充実すべきだ」と、この記事の中で日大の小林信一教授は強調する。その通りだと思う。
(食農連携機構コラム、2020年3月)
欧米の農業分野のコロナウイルス対策 3月29日付で日本農業新聞に2本の記事を書いた。27日(日本時間28日)に米国でトランプ大統領が署名して2兆ドルのコロナウイルス対策法が成立。その中で農業分野にどのような対策が盛り込まれたのかを解説。元情報は上院サイトにある支援策の内訳表=Breakouts。その一番上に農業がある。記事では農業には235億ドルと書いたが、かつてのフードスタンプ事業のような食料支援SNAP(155億ドル)などは別枠。NYTは早速厳しいスタンスで「新たな補助金が流れ込む」と報道している。
欧州連合の農相会合(ビデオ会議)は3月25日に開かれ、こちらから情報を読むことができる。
(日本農業新聞、2020年3月29日付)
先細りの都府県酪農の打開策を取材 日本政策金融公庫農林水産事業本部が発行するAFCフォーラム3月号で、岩手県西和賀町の株式会社湯田牛乳公社社長の細井洋行町長に話を聞いた。地域の未来を開くには若者を町に呼び込み定着させることが必要。そのためには第3セクターの湯田牛乳公社を中心に町内の酪農振興が必要だと主張した。県内の生協との間で長年続けた低温殺菌牛乳のノウハウを生かし、収益性の高い乳製品の販売に力を入れる。
(AFCフォーラム2020年3月号)
国産いちごが消費者を引きつける 農業者年金受給者向けの機関誌「のうねん」最新号のコラムでいちごの記事を書いた。かつて春から初夏の果物だったいちごは、いつの間にか冬の果実、そして周年で出回る果実になっていた。農家にとっていちごは比較的参入しやすい作物。施設園芸の投資は必要だが、マニュアルに基づいて作業ができる高設栽培が可能。先月訪問した関西のシングルマザー支援の農業法人も、いちごに力を入れていた。コラムでは「品種の戦国時代」「直場所の花形」などに触れた。
(のうねん288号、2020年3月)
水田でサケ養殖 加州米産地で 米国カリフォルニア州の米産地の冬水田んぼで、サケを育ている。3月末には数千匹の稚魚が、水田に接続した河川に放流され、川を下ってゴールデンゲートをくぐって太平洋に向かう予定だ。かつて、米とサケにもじってNIGRI Projetctと呼ばれたこともある(現在は別)野心的な試みは、流域の開発で激減したサケ資源を回復させる目的。カリフォルニア州米委員会のジム・モリスさんの話を聞いた。
(日本農業新聞、2020年3月15日付)
やや独善的な農水官僚論 ニュースソクラと食農連携機構のウェブサイトに「農水官僚が泥臭くなくなった」と書いた。スマートになったのは確かだが、「農業」との距離が以前よりも広がっているように感じる。とくに、安倍政権になって、官邸からの指示が次々に降ってくるようになると、それまでの農水官僚が自慢にしていた調整力の出番がなくなった。
(食農連携機構コラム、2020年2月)
第3の農産物輸出の時代か? 最近、農産物輸出の怪しさについて記事を続けて書いていたら、とある農水OBから「日本農業は輸出と無縁ではなかった」とアドバイス。過去2回の輸出ブームがあり、今回はそういう意味では3回目だとのこと。ただし、彼は現在の安倍政権の輸出振興政策の問題点を指摘しつつ、日本農業の体質改善に結びつけるための手段にするべきだと指摘した。
(日本農業新聞、2020年2月25日付)
農産物輸出連続増の実態 大半は海外原料加工品? 経済効果検証できず
政府は2019年の農林水産物・食品の輸出が7年連続で増加したと記者会見で明らかにした。しかし、輸出の中身を見ていくとお寒い実態が明らかになってきた。記者会見で質問をすると、輸出金額で最大額を誇る品目は「さまざまな食品類の寄せ集めで中身は分からない」と農水省。怪しい費目がいっぱいある。
輸出政策を検証するにはその効果が分からなければ意味がないが、政府は目標の1兆円と言うスローガンを掲げながら、経済分析をしていない。本来の目的ではなくて、輸出金額という手段を目的にしているかのようだ。ヤフーニュースで200を超えるコメントがついた。
(日本農業新聞、2020年2月9日付)
トランプ米大統領の一般教書演説 トランプ米大統領は恒例の一般教書演説を米議会で行った。全編にわたって自己満足の内容だったが、農家向けには中国や北米市場の「獲得」という実績を強調した。また、都市部に比べて見劣りする農村部のインターネット回線の高速化にも力を入れると約束した。演説の直前に実施された大統領の支持率調査では、トランプ氏の仕事ぶりに満足している農家は83%に達していることが分かった。開いた口がふさがらない...
(日本農業新聞、2020年2月7日付)
地元産小麦にこだわる帯広の異色ベーカリー NewsSocraに帯広市の満寿屋商店を紹介した。十勝産小麦100%にこだわる。一言で説明すれば地産地消だが、そのこだわりの強さが半端ではない。昨年12月に訪ねて話を聞いた。小麦農家の多くが自分の麦を食べたことがないという農家の話にもショックを受けた。こちらから読める(全文を読むのは有料)。
(2020年2月6日)
あまりに空虚な施政方針演説 安倍晋三首相が20日の国会施政方針演説で農業に触れた。全編が都合の良い話ばかりで自分の疑惑等に触れることはなかった。日本農業新聞のコラム「今よみ」で農産物輸出に触れた部分を取り上げた。どう考えても針小棒大。それを自身の手柄にして本当に知りたいところは何も語らない。この人の悪いところだ。
(2020年1月28日)
十勝産小麦にこだわる帯広のパン屋さん 帯広市の満寿屋商店は、創業70年のパン屋さん。東京を含めて6店舗を持つ。地元産小麦や砂糖、チーズにこだわり、ほぼ100%を自給している。4代目社長と、そのパートナーとして十勝産小麦を使うことに力を注いだ農家を紹介した。
(農業ビジネス・ベジ28号、2020年1月25日)
歴代自民党政権と農業団体 政治の舞台で農業団体の地盤沈下が止まらない。かつて共に鉄の三角形を形作った自民党農林族と農水省は首相官邸に早々に白旗を揚げ、TPP反対運動で飛び跳ねようとしていた農業団体はこっぴどく頭を叩かれてしまった。農村人口の減少や農業生産の伸び悩みの中で、政治力の減少はやむを得ないところがあるが、もう少し公明正大に姿勢を転換してみたらどうだろうか。のうねん287号のコラムで書いた。
(2020年1月17日)
日台で大学間連携が動き出す! 日本の4大学と台湾の6大学が足元の地域振興に向けてお互いのノウハウを交換する連携組織ができることになった。台湾の高雄で昨年11月に開いた関係大学の副学長会議で決まった。今年学長レベルで正式に発足するが、すでに一部のプロジェクトは動き始めている。高齢化や人口減少などに直面する日台。日本では大学が研究・教育に次ぐ第3の役割として地域貢献が注目されているが、台湾では蔡英文政権が「地方創生元年」と掲げて大学に積極的な取り組みを求めている。
(日本農業新聞2面2020年1月4日付)
謹賀新年 2020年元旦。おめでとうございます。日本農業新聞の「今よみ」「今年よみ」が日付の関係で12月31日付、1月1日付で連続して掲載された。今よみは昨年末に飛び込んできたスペイン・バレンシアの世界農業遺産の話題、今年読みが米ジョンホプキンス大学の調査で米国市民が思ったよりもCAFOに厳しい姿勢を示していることが分かった話題を取り上げた。今年は農産物輸出、CPTPPに関連した取材と初年度の科研費で農作業安全に関わる調査をするつもりだ。
(2020年1月1日)
農家のトランプ熱冷めず! 食農連携機構のコラムに、米国の農家のトランプ熱が相変わらず続いているどころか、12月には支持率が過去最高に達したことを解説した。私たち日本人にはかなりの違和感があるが、高評価の背景には米国の農家が元々共和党支持であること、トランプ大統領就任以来農家への直接補助金を別図のように急増させていることがある。図は米農務省の資料から作成した。これほど露骨な選挙対策はなかなかない。(12月25日)
Beautiful Fuji-san! An aerial view of the mount Fuji. I was on a way for Matsuyama city of Ehime prefecture with an ANA flight from Haneda. It was really gorgeous. Edges of top of the mountain were so sharp and fringes of the snow were also sharp. It was lucky to be at a left widow side seat. There was no attention announcement by flight clues, because most of the passengers were sleeping in the early flight. I just happened to take a look outside from the window, and it makes me happy. (Dec. 20, 2019)
台湾のウイスキー展示場を訪問 台湾の日本酒以上に興味があったのがウイスキー。世界中でウイスキーの賞を総なめし、人気急上昇中だ。ウェブサイトはこちら。「台湾のウイスキーなんて」と思う人は、欧州の人たちが最初「日本のウイスキーなんて」と思っていたのと同じで、固定観念に固まっているのかも知れない。宣伝文句を見ると、サントリーと基本的に同じで、森の中で清らかな水を使い匠の技で熟成させる。なんか足りないような気もするけれど飲んでみると確かにおいしい。高雄のショールームを訪ねてみた。
(2019年12月1日)
台湾唯一の清酒醸造所を訪問! 台南市の農会(農協)が自分の所で香り米栽培を始め、その有効利用を考える中で編み出したのが清酒醸造。なにやらお手軽風の解決策に見えるが、飲んでみてびっくり。本格派。原料米の香りはあまり感じられず、やや甘口ながら醸造香がすばらしい。国際賞をいくつか取ったとあった。国際賞は玉石混淆だが、たしかに受賞しても不思議ではない感じ。新潟県在住の有名な醸造研究者(81)が協力した。「杜氏」はいないとのことだが、若い職員が日本の酒蔵を回って研修したとのこと。値段はやや高めながら、日本からの輸出品と対抗できるような品質を持っている。
【補足】その後、東京都内の宴席であった新潟県の酒造会社関係者らに現物を飲んでもらった。私と同じ意見。品質の高さは疑いようがない。
(2019年11月29日)
日中合作の発電農業が動き出した 「中国の電力メーカーが、日本の農地にまで手を伸ばしている」。こんな警戒感が広がる中、2年半前に稼働したのが茨城県つくば市の大規模ソーラーシェアリングだ。発電の主体は中国・上海電力。「日陰」を使って地元の農業法人が朝鮮人参栽培に取り組む。来年から本格的な出荷が始まる計画で、日中合作による農業の真価が問われることになる。
11月半ばに訪ねた時はちょうど、朝鮮人参の苗を掘り起こしていた。種をまいてできた苗の植え替えを繰り返し、5年目に出荷する。来年秋が最初の出荷となる計画で、今のところ順調に苗は育っているという。食農連携機構のサイトでコラムを書いた。(2019年11月27日)
北海道・帯広市で企業経営者向け講演 北海道中小企業家同友会とかち支部の主催で、「農業ジャーナリストが見てきた世界農業の最先端と日本農業生き残りのヒント」を講演した。厚生労働省の支援事業の一環。農家や経営主など50人近くが参加。「たぶん十勝地方の優秀な農家が顔をそろえた」と主催者の一人が話していた。たしかに質問は時間内に終わらず、次から次へと続いた。
①世界農業の基軸が変わり始めた
先進国間の農業競争から、南米やウクライナなどの
新興国を交えた競争に変化している
②北米型と欧州型農業の生き残り戦略
追い上げられる先進国農業は北米と欧州で
全く異なる戦略を描いている
③日本農業が進むべき道
(2019年11月21日)
異様な光景で日米貿易協定が決着 日本の安倍首相とトランプ米大統領の日米首脳会談で、2019年9月末に実質合意した。会場となったニューヨークのホテルで行われた記者会見は異様な光景だった。10人ほどの米農業団体関係者が会議の場に入り、トランプ氏と漫談のようなやりとりを繰り広げたのだ。安倍氏はそれを眺めるばかり。このおかしさをのうねん286号のコラムで書いた。(2019年11月20日)
米国産果実への関税上げでアジアの果実戦線に異常あり
米国のトランプ大統領が各国と繰り広げる貿易摩擦のあおりで、アジアの果実市場に異変が起きている。米国から中国に輸出されるサクランボやリンゴが急減し、そのすき間を埋めようと欧州や南米産地が売り込みをかける。
「昨年は3割減。中国向けに今季は輸出できるかどうか」
9月初めに香港で会った米ワシントン州リンゴ委員会のレベッカ・リオンズ海外販売局長は浮かない顔をしていた。アジア地域に売り込もうと国際青果物展示会AFLに乗り込んできたが、9月から中国政府は米国産果実に報復関税10%を上乗せした...。
(日本食農連携機構コラム2019年10月30日)
香港の国際青果物展示会を報告 イカロス出版社の農業ビジネスvol27 秋号で、「激動するアジアのマーケット 大丈夫か、日本?」を書いた。アジア・フルーツ・ロジスティカは今回で2回目。本家であるベルリンのフルーツ・ロジスティカには数回訪れて取材したが、青果物専門の展示会としては秀逸。ただし、今回は香港の民主化をめぐる混乱で参加者が少ない。オフィシャルには1-2割の減少と言われたが、日本から参加した人たちの感覚からすると「半減」という。香港はもちろん、中国や東南アジア、それに最近は南アジアの青果物業界関係者が集まるユニークな内容。延べで1万人もの人が会場を歩いているのだが、全員が野菜や果物に関連していると楽しくなる。
(2019年10月20日)
日米首脳会談で異様な光景がみられた 日本農業新聞のコラム「今よみ」で、決着した日米貿易協定に関連する話を書いた。それは異様な光景だった。9月25日にニューヨークの高級ホテルで開かれた日米首脳会談の場に、10人ほどの米国内の農業団体関係者らが招き入れられた。12分間にわたって、トランプ米大統領との間で掛け合い漫才のような即興のやりとりが続いた。トランプ氏の隣に座った安倍首相は、大統領の手柄話と団体首脳らのほめちぎりを眺めていた....
(2019年10月8日付、日本農業新聞)
TICADで儲かる農業? 儲かる農業でアフリカの地域開発を進めようという構想が日本政府主導で動き出す。9月に横浜市で開いた第7回アフリカ開発会議(TICAD)で、国際協力機構(JICA)がSHEPとCARDと呼ばれるプロジェクトを始める。アフリカ支援では存在感の薄い日本が主導権を持つ数少ない試み。民間活力の活用は安倍首相が以前から強調しているもので、日本企業に活躍の場を与えるものでもある。
(9月30日、日本食農連携機構ウェブサイトで)
Farm safety Symposium held in Korea The Korean Farm Develop Agency hosted the Northeast Asian Symposium on Agricultural Health and Safety in Chonju, Korea on 26, September. Researchers from Japan, Taiwan, along with Korea discussed how to improve farm safety. One of the topics discussed this year was about how media and communication can contribute to reduce the number of farm accidents. I was one of commentators at the discussion. Korean researchers disclosed they are going to team up with European farm safety organizations to reduce farm accidents.
(September 2019)
香港で3-6日に開いたAsia Fruit Logistica訪問 メッセベルリンやフルーツ専門誌が主催するアジアフルーツロジスティカに行ってきた。香港は半年ぶり。5大要求を掲げた民主化デモで観光客は減っていたが、九龍側は比較的静かだった。日本の農産物最大の輸出先である香港市場の話も聞いて回った。(2019年9月)
第7回アフリカ開発会議(TICAD)で日本政府の取り組み
恒例のTICADが横浜市で開かれた。2日間通った。会議そのものの様子は通信社原稿に頼り、日本政府がアフリカ農業に貢献するプログラムを紹介した。一つは米増産を目的にしたアフリカ稲作振興のための共同体(CARD)と高付加価値の園芸振興を目的とした(SHEP)。どちらも小規模農家に焦点を当てて、農業振興をめざすもので、CARDはこれまでも何回か書いてきた。CARDは目標年次の2018年に2800万トンの生産目標を達成、2030年までに5600万トンの新たな目標を掲げて動き出した。SHEPのほうも、これまで実施してきたプログラムを広げる内容。どちらも小規模農家を軸足に置きながら「儲かる農業」を掲げている印象。安倍政権のカラーがにじみ出ているようで気に掛かるが、取りあえず紹介。モザンビークの農民団体などが記者会見をして、JICAの手法に異を唱えていたようだ。
(日本農業新聞9月4日付など)
参院選 安倍農政への反発が顕著 農協組織候補として参議院選挙比例区に立候補した山田俊男氏。7月21日の投開票の結果、21万7000票にとどまった。6年前の選挙時に比べて12万票、12年前に比べると23万票も減らしたことになる。かつて強大な政治力を誇ったJAグループで何が起こっているのか。山田氏の得票数の減少は農業地帯で顕著だ。例えば北海道の場合、今回の得票は7000票で、12年前の2万9000票の3割にも達しない水準まで低下した。東海や近畿など一部の都市部では健闘しているものの、北海道、東北、九州などの主要な農業地帯で集票力が落ち込んだことに、JA関係者は衝撃を受けている。
(2019年8月1日付 ニュースソクラ)
農学部を目指す若者たちに! イカロスMOOKの「農を学ぶ大学・スクール・研修ガイド」で、農学の魅力を書いた。全国の大学で農学部の新設ラッシュが進む背景を高校生向けに解説した。かつてあった農学部への偏見が薄れ、生きものを対象にした総合生命科学としての農業研究に魅力を感じるようになってきた。安定した就職の実績も関心を集める理由の一つだ。
(2019年7月 農業ビジネスVegie別冊)
書評 グローバル資本主義と農業・農政の未来像! 小池恒男ほか 昭和堂、 開眼というタイミングに合わせてここ30年ほどの農政を振り返る著作や記事が目立つ。新自由主義に基づく農政の弊害を批判的に取り上げた。
(2019年7月15日付 日本農業新聞)
アイルランドの「オリジン・グリーン」に注目 定期的に執筆している食農連携機構のコラムで、アイルランドの「オリジン・グリーン(OG)」を取り上げた。日本向け食品輸出を加速させるとして、相次いで訪日ミッションを派遣。その中でこのOGを最大の武器にするという。アイルランドは隣国である英国のブレクジットで最大の打撃を受ける国とみられている。新たな農産物市場の売り先としてアジアを選んだ。日本を含めたこの地域は伝統的に米国やオーストラリア、ニュージーランドが強い。そこに新たに割り込むとなると何らかの特徴が必要で、その一つがOGということになる。
『新スマート農業』を発刊(進化する農業情報利用 著者 農業情報学会 編 定価 5,400円、 発行日 2019/05、農林統計出版 判型/頁数 A5 500ページ) データが創る、農業の新時代。 農業・農村のイノベーションを実現する「スマート農業」。IT化だけではなく、営農スタイルを含めた農業展開やエネルギー、そして環境などの革新技術によって、農業・農村のエコシステム化と持続的生産を目指す。農業情報科学の知識を集大成した「農業情報科学ハンドブック」。第9章「海外におけるスマート農業の動向」で北米のスマート農業について解説した。農文協の田舎の本屋さんウェブサイトで購入できます。(2019年6月)
トランプに振り回されたG20新潟農相会合 農業は地球温暖化の原因の一つでもあり、同時に有力な解決策の一つにもなり得る。大切なのは各国が足並みをそろえて対策に取り組むことだ。先日新潟市で開かれた主要国の農相会合は、地球規模の課題を話し合うチャンスだった。しかし米トランプ政権の頑なな態度で、ほとんど意味のある内容を打ち出せなかった。
「温暖化対策には多国間の協力が大切だが、米国は同じ方向に向かっていない」ーー帰国直前に東京駅で直接話を聞いたフランスのディディエ・ギヨーム農相は、農相会合宣言に納得できないという不満顔で米国を批判した。
20カ国・地域(G20)農相会合は4月11日から2日間新潟市で開かれ、農業の生産性向上や食品ロスの削減、持続可能な農業に向けた閣僚宣言をまとめた。
(2019.5.27日本食農連携機構コラム)
それは未来の肉か、それともフェイクか? 農業者年金の受給者向け隔月刊雑誌「のうねん5月号」に米国で植物由来(PBM)の人工肉が拡大していることを書いた。米国のバーガーキング社がミズーリ州の59店舗で新たに販売を始めるというNewsを紹介。米国内の畜産関係者が不満を高めている現状を解説した。肉牛関係者の間には、かつての酪農家の失敗を懸念する声がある。彼らが「soy milk」を馬鹿にして表示規制を見逃したため、その後の市場拡大で名前が定着。milkの一種という認識が広がったというものだ。全米の多くの州で、食肉は畜産物から生産されるもので、それ以外は認めないという動きが広がっている。
(2019.5.21)
WTO敗訴 ゴリ押しすれば韓国消費者は買わない
韓国が日本の一部産地からの水産物輸入を禁じている件で、世界貿 易機関(WTO)の最終審にあたる上級委員会が、日本の主張を退 けた。日本政府は禁輸政策の見直しを今後も強く隣国に迫る方針だ 。しかし、これまでの通商交渉で、日本自身が消費者の納得に基づ く安心の大切さを主張してきたことを忘れるべきではない。ニュースソクラに寄稿した。
日本自身、2003年末に米国で牛海綿状脳症(BSE)が発生確認された時、科学よりも消費者の安心感を錦の御旗に米国に立ち向かった。政府は米国との関係に毎度おなじみのように心を砕いたが、消費者の多くが安心を求めた。このままでは二枚舌になってしまう。
(2019年5月14日)
農林物輸出「その他のその他」が品目1位のナゾ
安倍政権の悲願「1兆円目標」達成間近だが
(東洋経済オンライン4月19日)
日本農業新聞の記事4月8日付で紹介した、わが国の農産物輸出の問題点を東洋経済オンラインに書いた。日本農業新聞ではスペースの関係で入れられなかった類別輸出額の一覧表を掲載した。農水省がこれまで関税番号の全貌を明らかにしていなかったため、類別輸出額を出したのはこれが初めて。
東洋経済オンラインで書いた中で、日本農業新聞では触れなかったのは次の部分。
「国内農業よりも数字を伸ばすことにしか頭が回らない今の農水省の姿勢を象徴する出来事が今年3月にあった。
平成30(2018)年度に輸出で優れた功績を挙げ、農林水産大臣賞をもらった6事業者を表彰する式典が東京都内で開かれた。会場で資料が配付された。その内の1社の受賞理由に「日本国内で売られている価格と同程度で販売する」ことの大切さが挙げられていた。
この会社は原材料の一部は地元産品を利用するものの「適正価格の実現のために米粉は(安価な)輸入したものを使っている」と審査資料は強調する。米(コメ)は国の農産物輸出戦略の中でも最重要品目の1つだが、国産米原料を使わず安価な輸入の米粉を利用した点を大臣賞選出の理由の1つにした。
自社製品の輸出を増やすため、安価な輸入原料を一部に使ってコスト削減することは、企業判断として何らおかしくはない。しかし、農産物輸出振興の旗を振る政府が、そうした企業に大臣賞を与え、全国の事業者に「まねをしろ」と推奨するとなると話は別だ。」
食農連携機構のコラムに寄稿(2019/03/28)
手軽に操作できる農業用のドローン(小型無人飛行機)利用が急増している。農薬や肥料、種子の散布、受粉の他、ほ場の観測(センシング)、鳥害獣対策といった用途が見込まれている。深刻な省力化の中で農家の関心は高いが、安全対策などの課題も山積している。
春の農作業を前に、農業改良普及センターやJAの技術講習会が全国で開かれている。これまでは新しい農薬や肥料、トラクターの新機種紹介などが中心だったが、今年は各地でドローン講習が加わった。ふだんJAなどの会合には顔を見せない若い農家がたくさん集まり、会場は盛り上がっているという。かつて田植機やコンバインの登場が稲作栽培を大きく変えたように、ドローンの登場が農作業の姿を再び変える予感を抱かせる。
日本農作業学会2019年度春季大会(3月21日東京農工大学)で記念講演(先進国農業は新興国の挑戦にどう立ち向かうか)。
先進国の農業は、かつてないチャレンジに直面している。温暖化、土壌の劣化、耐性病を獲得した病害虫や雑草という地球規模の課題に加え、新興国からの挑戦にどうやって立ち向かうかという足元の問題も抱えている。近代的な技術、整備されたインフラ、豊富な資金を背景に、米国や欧州は国際貿易の場でも通商交渉の場でも独占的な地位を保ってきたが、21世紀に入るころから大きな転換点を迎えた。
経歴
農業ジャーナリスト。世界の農業や農業政策、農産物の通商交渉問題などを取材してきた。著書に『亡国の密約』(共著、新潮社、2016年)、『農業問題の基層とは何か』(共著、ミネルヴァ書房、2014年)、『緊迫アジアの米――相次ぐ輸出規制』(筑波書房、2005年)など。
1955年東京生まれ
千葉県立千葉高等学校 1973年3月 卒業
名古屋大学農学部農学科 73年4月~77年3月卒業(農学士)
日本農業新聞記者77年4月~2015年2月
フロリダ大学・テキサスA&M大学客員研究員1993年10月~94年7月
東京農工大学連合農学研究科生物生産学専攻(博士課程後期) 03年4月~08年9月修了(農学博士)
農業情報学会フェロー 2016
明治大学兼任講師 2014~2019
日本農業経営学会常任理事 2017〜2018
日本農業新聞特別編集委員 2016〜
ニュースソクラ・コラムニスト 2017〜
日本記者クラブ会員 2014〜
農政ジャーナリストの会会員 1989〜
環境ジャーナリストの会会員 2006〜2019
著書
1. 山田優、1993年1月、はじめての農業パソコン、富民協会
2. James R Simpson、山田優、2004年8月、これでいいのか日本の食料、家の光協会
3. 山田優、2005年2月、緊迫アジアの米、筑波書房
4. 農政ジャーナリストの会50周年記念誌編集委員会(岸康彦、滑田隆、山田優など)、2007年7月、農林統計協会
5. 東京商工会議所編(アースワークスのほか、山田優など多数)、「食・農」A子リーダー公式テキスト、2011年3月、中央経済社
6. 南石晃明ほか山田優など、2014年3月、農業革新と人材育成システム、農林統計出版
7. 末原達郎ほか山田優など、2014年12月、農業問題の基層とはなにか(シリーズ・いま日本の農を問う1)、ミネルヴァ書房
8. 八木宏典ほか山田優など、2015年8月、知識ゼロからの畜産入門、家の光協会
その他 共著多数(20以上)
9.山田優、石井勇人、2016年7月、亡国の密約、新潮社
10.農業情報学会編、2019年5月、新スマート農業、農林統計出版
学術論文-1(レフェリー付き学会誌)
1. 山田優、2004年、米国リンゴ産業の新たな生き残り戦略、2004年、農業経営研究(個別報告)、42-2、109-112ページ
2. 山田優、2008年、電子メールの問い合わせに対する行政機関の情報公開への対応研究(原著研究論文)、農業情報研究17-2、69-76ページ
3. 山田優、2008年、日本農業新聞が利用するオンライン海外情報、農業情報研究17-3、1-5ページ
学術論文-2(レフェリー付き学会誌以外の学術雑誌)
1. 山田優、2008年、G8の食料安全保障声明から見えてきたもの、財団法人日本水土総合研究所、ARDEC、No.39(11月号)
2. 山田優、玉井里美、2008年、A flour Blooms、International Rice Research Institute(IRRI、国際稲研究所)、Rice Today7-4
その他の業績(学会発表ほか)
1. James R Simpson、山田優(発表者)、2001年、WCC-101, Sonoma, US、The Impact on Japan and Japanese Agriculture from China’s Entry into the WTO
2. 南石晃明, 山田優, 西和盛、2010年、日本農業経済学会大会、農業経営リスクに対する農業者の認識―全国調査による主観的リスクの解明―
3.山田優、2015年、日本農業普及学会シンポジウム、「AKISが普通になってきた」
4.山田優、2016年11月、明治大学社会科学研究所シンポジウム「食料・農業のTPP戦略」、個別報告「食料・農業と米国の戦略」
5.山田優、
6.山田優、2016年11月、畜産経営経済研究会11月例会講演「亡国の密約 TPPはなぜ歪められたのか」
6.その他日本農業新聞以外への原稿執筆、出演(一部)
「現場に見る農産物輸出の挑戦」(農林漁業金融公庫月報4月号)、2004
「China’s Big Harvest」(米Farm Future Magazine4月号)、2004
「Local Farmer is first casualty in biotech battle」(米Farm Future Magazine1月号)、2005
「私が期待する普及指導員像-エージェントの役割を意識して」(農業普及Vol45、11月号)、2008
「食の戦争-豪州の事例」(週刊東洋経済2月23日号)、2008
「バブル崩壊後の米国-とうもろこし農家は赤字に転落」(週刊東洋経済10月17日号)、2009
「平成の米騒動顛末記」(週刊東洋経済9月10日号)、2011
「日本の震災と農業」をテーマに豪州公共ラジオThe World Today出演、下記サイトを参照(音声及びスクリプトなど収録)、2011http://www.abc.net.au/worldtoday/content/2011/s3179836.htm
「干ばつ直撃、カリフォルニア米産地」(AGRIO=時事通信社=10月7日号)、2014
「食料安保を噛みしめる秋」(技術と普及11月号)、2014
「土は単なる泥ではない」(経営実務3月号)、2015
「経営紹介・奈良県坂利製麺所」(AFCフォーラム4月号)、2015
「どうなる?TPP交渉の行方」(地上5月号)、2015
「マリフアナ合法化に沸く米国」(週刊ダイヤモンド5月2・9日号)、2015
「コメ輸入での米国優遇いつまで」(AGRIO=時事通信社=5月12日号)、2015
「日本に及ぶ米国西部の干ばつ被害」(グローバルネット6月号)、2015
「経営紹介・栃木県ハーレイ牧場」(AFCフォーラム7月号)、2015
「深刻な熊本地震の農業被害」(週刊ダイヤモンド6月25日号)、2016
「Olympiastadion i Tokyo byggs i trä」(Tillväxt nr3 2016, Sweden)、2016
「熊本地震で阻まれる、農業の6次産業化」(東洋経済オンライン11月11日、http://toyokeizai.net/articles/-/143820)、2016
「米国農家はなぜトランプ米大統領を熱烈に支持したか」(東洋経済オンライン11月27日、http://toyokeizai.net/articles/-/146740)、2016
「全国に広がる鳥獣被害」(週刊東洋経済1月28日号)、2017
「農産物輸出のカギ握る台湾の市場を歩いた」(農業ビジネスマガジンvol.16)、2017
「トランプ・ショックこれからの世界と国際交渉」(地上4月号)、2017
「トランプ政権、支持母体の農業予算もカット」(ソクラネット3月29日)、2017、https://socra.net/world/%E6%94%AF%E6%8C%81%E7%8E%87%E4%BD%8E%E4%B8%8B%E3%81%AB%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%AB%E6%89%93%E6%92%83%E3%82%82/?r=1、2017
「テロワールー究極のマーケティング」(農業ビジネスマガジンvol.17)、2017
「800年変わらぬ伝統の味、ブルゴーニュのブランド力」(ソクラネット4月28日)、2017、https://socra.net/business/%E4%BF%AE%E9%81%93%E5%A3%AB%E3%81%AE%E6%8A%80%E3%80%81%E4%BA%BA%E7%9F%A5%E3%81%A7%E5%8F%97%E3%81%91%E7%B6%99%E3%81%90/?r=1
「日欧EPAのその先」(週刊東洋経済7月22日)、2017、https://premium.toyokeizai.net/articles/-/16085
「スイスが憲法改正 食料安保を明記」(ソクラネット11月10日)、2017、https://socra.net/world/%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E4%BA%88%E7%AE%97%E3%81%AE%E6%8B%A1%E5%A4%A7%E8%AD%A6%E6%88%92%E3%80%81%E8%BC%B8%E5%85%A5%E3%81%AE%E9%87%8D%E8%A6%81%E6%80%A7%E3%82%82%E7%9B%9B%E3%82%8B/?r=1
「フランツ・フィシュラー元EU農業担当委員インタビュー」(時事通信アグリオ0185号 12/05)、2017
「和牛輸出に立ちはだかる豪州産WAGYU」(ソクラネット12月8日)、2017、https://socra.net/business/%E3%80%8C%EF%BD%97%EF%BD%81%EF%BD%87%EF%BD%99%EF%BD%95%E3%81%AF%E5%81%BD%E7%89%A9%E3%80%8D%E3%81%A8%E5%88%87%E3%82%8A%E6%8D%A8%E3%81%A6%E3%82%8B%E5%89%8D%E3%81%AB/?r=1
「急成長する植物工場 将来性には疑問も」 (技術と普及4月号)、2018
「大豆農家がトランプ政権の命運を左右する 米中貿易摩擦の最大焦点に大豆が浮上」(東洋経済オンライン4月25日、https://toyokeizai.net/articles/-/218131)、2018
「米国農業でも家族経営が合理的 米農務省報告」(ソクラネット4月27日)、2018、ttps://socra.net/business/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%A7%E3%82%82%E5%AE%B6%E6%97%8F%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E3%81%8C%E5%90%88%E7%90%86%E7%9A%84%E3%80%81%E7%B1%B3%E8%BE%B2%E5%8B%99%E7%9C%81%E5%A0%B1%E5%91%8A/?r=1
「シリア内戦生き延びた種、米国小麦を救う?」(ソクラネット6月2日)、2018、https://socra.net/business/%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E3%81%A7%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%A7%E3%82%82%E5%AE%B3%E8%99%AB%E3%81%8C%E5%A2%97%E5%8A%A0%E3%80%81%E5%BC%B7%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%AF%E4%B8%AD%E6%9D%B1%E5%8E%9F%E7%A8%AE/?stat=5b11f014e3ec471988870c7d000000a0
「アメリカ農家がやはり「トランプ支持」なワケ」(東洋経済オンライン7月27日、https://toyokeizai.net/articles/-/230969、2018)
「将来の農業はAI農機が担う」(ソクラネット9月7日)、2018、https://socra.net/business/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%A7%E9%80%B2%E3%82%80%E8%BE%B2%E6%A9%9F%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%9E%8B%E5%8C%96%E3%80%81%E5%9C%9F%E5%A3%8C%E6%82%AA%E5%8C%96%E9%98%B2%E3%81%90/?r=1
「農作業事故死亡が年300人」(ソクラネット9月21日)、2018、https://socra.net/business/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E3%81%AB%E5%A4%9A%E3%81%8F%E3%80%81%E4%BA%8B%E6%95%85%E4%BB%B6%E6%95%B0%E3%81%AF%E5%B9%B47%E4%B8%87%E4%BB%B6/?r=1
「全国の大学で「農学部」が次々新設されるワケ キャンパスにノケジョが闊歩する」(東洋経済オンライン9月29日)、2018、https://toyokeizai.net/articles/-/239658
「ここがダメだよ農産物輸出」(農業ビジネスマガジンvol.23)、2018
「農業輸出5000億円、水増しの疑念」(ソクラネット10月5日)、2018、https://socra.net/business/%E5%AE%89%E5%80%8D%E6%94%BF%E6%A8%A9%E3%81%AE%E7%9B%AE%E6%A8%991%E5%85%86%E5%86%86%E3%81%A0%E3%81%8C%E3%80%81%E8%BC%B8%E5%85%A5%E8%BE%B2%E7%94%A3%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%8A%A0%E5%B7%A5%E8%B2%BF%E6%98%93/?r=1
「牛肉・オレンジ交渉の舞台裏 ブロック元農務長官に聞く」(Agrio Vol0232)、2018、時事通信社
「便利と支配 隣り合い」(『今年よみ』1月4日付)、2019、日本農業新聞
「小農権利宣言が国連で採択 日本は棄権」(ソクラネット1月8日)、2019、https://socra.net/world/%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8A%E9%80%94%E4%B8%8A%E5%9B%BD%E3%81%A8%E5%85%88%E9%80%B2%E5%9B%BD%E3%81%AB%E4%BA%80%E8%A3%82/?r=1
「カメムシ恐るべし」(農業ビジネスマガジンvol.24)、https://secure.ikaros.jp/sales/list.php?tidx=78
「世界で広がる耕さない農業」(ソクラネット1月31日)、2019、https://socra.net/business/%E8%80%95%E3%81%95%E3%81%AA%E3%81%84%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E3%81%AB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%B3%9E/?r=1#socra_modal
「海外で広がる和牛肉消費 主役は米国・豪州産のなぜ?」(週刊東洋経済3月9日号)、2019年、https://premium.toyokeizai.net/articles/-/20098
「農林物輸出「その他のその他」が品目1位のナゾ 安倍政権の悲願「1兆円目標」達成間近だが」(東洋経済オンライン4月19日、https://toyokeizai.net/articles/-/277168)、2019
「WTO敗訴 ゴリ押しすれば韓国消費者は買わない」(ソクラネット5月14日)、2019、https://socra.net/world/%E6%80%9D%E3%81%84%E5%87%BA%E3%81%99%E7%8B%82%E7%89%9B%E7%97%85%E9%A8%92%E3%81%8E-%E8%BC%B8%E5%85%A5%E5%86%8D%E9%96%8B%E3%81%A7%E5%BC%B7%E7%A1%AC%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%B1%B3%E6%94%BF%E5%BA%9C/?r=1
「米国で植物由来の人工肉が拡大 それは未来の肉か、それともフェイクか?」(のうねん5月号=no283、農林水産広報センター)、2019
「農産物輸出1兆円を支えるのは怪しいものばかり」(Agrio258号、2019年6月4日)、時事通信社、2019
「参院選 安倍農政への反発が顕著」(ソクラネット8月1日)、2019、https://socra.net/politics/%e8%be%b2%e5%8d%94%e5%80%99%e8%a3%9c3%e6%9c%9f%e7%9b%ae%e3%81%ae%e5%b1%b1%e7%94%b0%e6%b0%8f%e3%80%80%e5%88%9d%e5%bd%93%e9%81%b8%e6%99%82%e3%81%ae%e5%8d%8a%e5%88%86%e3%81%ae%e3%82%8f%e3%81%9a%e3%81%8b2/?r=1
「農学の魅力」(農業ビジネスVEGGIE別冊「農を学ぶ 大学・スクール・研修ガイド)」(イカロス出版8月16日)、2019
「農産物輸出1兆円の内幕」(技術と普及10月号「TREND19」)、2019、全国農業改良普及支援協会
「トランプ氏支持回復に助け船」(「今よみ」10月8日付)、2019、日本農業新聞
「激変するアジアのマーケット 大丈夫か、日本?」(農業ビジネスマガジン、vol27)、2019
「日米貿易協定決着=農政の焦点」(日本農業の動き203号、2019年11月)
「マーケットを切り開く十勝のパイオニア」(農業ビジネスマガジン、vol28)、2020
「Finding the sweet spot」(ASIAFRUIT, February 2020_Issue187)、P24、英語
「Functional fruits」(ASIAFRUIT, February 2020_Issue187)、P25、英語
「農業高校が元気だ!」(朝日新聞EduA、11月13日)、2020、https://www.asahi.com/edua/article/13924054
出演・講演
「Japan’s Stance in the Geographical Indications System(英語)」、Guest speaker at next agricultural counsellors’ meeting in Tokyo、2014/04/16
「欧州農業の課題」、平成27年度静岡県JA営農技術員会全体研修会、2016/02/05
「Japan’s rice farming and trade policies(英語)」、Arkansas State University, USA,、2016/09/14
「JICA課題別農村女性能力向上コース講義(英語)」、2016/9/29、2016/10/11
「日本農業とTPPについて」、千葉県市原市水土理ネット役員研修会、2016/10/05
「環境ジャーナリスト講座2017講師」、地球・人間環境フォーラム、2017/10/18
「Workshop on Emerging Roles of Producers' Associations and Fanners’ Cooperatives(英語)」、Resource person、Dhaka, Bangladesh, 2017/04/23-27、Organized by Asian Productivity Organization (APO)
「市場開放の時代にどう立ち向かうか」(千葉県農協会館)、千葉県農協中央会経営管理者研修会、2019/01/11
「米国におけるWagyu」、畜産経営経済研究会講演、2019/03/05
「先進国農業は新興国の挑戦にどう立ち向かうか」(東京農工大学)、日本農作業学会2019春季大会記念講演、2019/03/21
「東アジア農作業安全シンポジウム」(全州)、韓国農村振興庁主催、2019/09/26
「農業ジャーナリストが見てきた世界農業の最先端と日本農業生き残りのヒント」、北海道中小企業家同友会とかち支部主催、2019/12/21
2016年に亡国の密約を新潮社から出版しました。共同通信社の石井勇人編集委員との共著です。
“農政に詳しい著者らが過去20年間のミニマム・アクセス(農産品の最低限の輸入枠)のコメの入札結果を調べると、米国の落札比率はなぜか47%に落ち着いていた。赤字であっても一定量を米国から購入する仕組み。著者らは公文書から関係者まで丁寧に取材を進める中で“密約”を炙(あぶ)り出していく。”(朝日新聞、[文]森健(ジャーナリスト)、2016年7月10日)
“ここで言う密約とは、日本が義務づけられている米の輸入量のうち、ほぼ半分を、アメリカから輸入するというものである。国会でただされても、大臣も、農水省も否定する。これを著者たちは執拗に追う。”(毎日新聞、2016年7月17日)
“彼らは、何らかの密約があったのではないかと考え、両国の交渉官に取材を重ね、その存在を立証していく。”(北海道新聞、2016年)
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